お役立ちコラム
傷病手当金に関する7つの質問に答えます!
怪我や病気になって働くことが出来なくなったらどうしよう…
そんな時役立つのが【傷病手当金】です。
傷病手当金について様々な事項をご説明します!
- 傷病手当金とは?
- 傷病手当に関する7つの質問
- 入社1年未満でも傷病手当金はもらえる?
- 傷病手当金と労災は同時に申請できる?
- 時間外に酔って怪我をしたが傷病手当金は出る?
- 傷病手当金から天引きしたいのだけど?
- 傷病休業中に退職したが、退職後も傷病手当金はもらえるのか?
- 賞与と傷病手当金は両方もらえる?
- 一度受給した後、復職して再度休む場合、傷病手当金はもらえるの?
- まとめ
◇傷病手当金とは?
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
要件は以下(1)~(4)まで必要になります(「協会けんぽ」(全国健康保険協会)より抜粋)
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
(2)仕事に就くことができないこと
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
(4)休業した期間について給与の支払いがないこと
そんな傷病手当金に関する7つの質問にお答えします。
◇ 質問1:入社1年未満でも傷病手当金はもらえる?
Q |
入社して1年もたっていないのですが、傷病手当金はもらえるでしょうか?
A |
在職中の傷病手当金であれば、原則、入社1年未満でも受給することは可能です。
但し、転職者の場合、健康保険組合が前職で加入していた保険者に同様の傷病で傷病手当金の受給をしていないか確認をする場合がありますので、前職で同様の傷病で傷病手当金を受給していた場合には1年6ヵ月よりも短い期間しか受給できないか、あるいは全く受給できない可能性があります。
◇ 質問2:傷病手当金と労災は同時に申請できる?
Q |
労災で休業補償給付を受給中の社員が病気になりました。この場合、傷病手当金の請求は可能でしょうか?
A |
休業補償給付を受給している場合は、その原因となる疾病・負傷が同一か別かに関係なく、傷病手当金を受給することはできません。
休業補償給付と傷病手当金は、「労務に服せない期間の所得保障」を目的としており、2重の給付は行われません。労災保険の給付は健康保険の給付に優先して行われるため、この場合は休業補償給付が優先して支給されます。休業の原因となるそれぞれの疾病・負傷の発生時期は関係ありません。
ただし、休業補償給付の額よりも傷病手当金の額の方が上回る場合は、その差額が傷病手当金として支給されます。また、休業補償給付が終了した後に、業務外の怪我や傷病のために労務不能の状態となった場合は、傷病手当金を全額受給することができます。
◇ 質問3:時間外に酔って怪我をしてしまったけど、傷病手当金は出る?
Q |
従業員から次のような問い合わせがありました。 「業務外の出来事なのですが、先日、飲食店で見知らぬ客と言い争いになり、傷害を受けました。その際の骨折による整復術後の療養のため、医師が1ヶ月間労務不能と判断しました。これにより傷病手当金の請求をしたいと考えています。」 このような事象について傷病手当金の請求は可能でしょうか?
A |
健康保険法第117条により不支給となる可能性がございます。
「被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。」と定めているためです。
なお、従業員の方が今回の傷害について健康保険証を使用して診療を受けた場合、療養費の医療機関への支払は、「第三者行為による傷病届」をご提出していただいたうえで、一旦、ご加入中の健康保険の保険者が立替払いをしますが、後日第三者に請求することになります。
◇ 質問4:傷病手当金から天引きしたいのだけど?
Q |
健保組合から会社の口座に振り込まれる傷病手当金から、会社が立替えている社会保険料などを相殺することは法的に問題ありませんか?
A |
給与から会社が法令で定められたもの以外の天引きをするときは、労働者の過半数を代表する者(労働組合があればその労働組合)との間で、書面による協定を結ぶ必要があります(労働基準法24条1項但書)。
一方で、傷病手当金は上記にいう、賃金には含まれないので、協定を結ぶ必要はありません。しかしながら、本人の同意を得ないまま、勝手に傷病手当金と社会保険料等の相殺を行うことは、法的に問題があります。
したがって、傷病手当金の申請を行う際に、本人からの同意を取った上で、相殺をすることが望ましいと言えます。また、傷病手当金の支給額・実際に立替えた金額・立て替え金を差し引いた後の支給額の内訳明細を健保組合から届く支給決定額の案内とともに、該当する社員へ案内することをお勧めします。
◇ 質問5:傷病休業中に退職したが、退職後も傷病手当金はもらえるの?
Q |
私傷病休職をしている社員が復職できずに退職する事になりました。健康保険から傷病手当金を受給している途中ですが、退職後も傷病手当金は貰えるのでしょうか?
A |
資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていれば、退職後も、引き続き残りの期間について傷病手当金を受給することが可能です。
具体的には、以下の要件を全て満たしている事が必要です。
● 退職日に労務不能でお休みしていること
退職手続などで退職日当日に出勤していると、継続給付を受ける条件を満たさないため、退職後の傷病手当金を受給する事ができません。
● 退職日まで健康保険に継続して1年以上の被保険者期間があること
なお、以下の点には注意が必要です。
- たとえ1日のブランクがあっても不可です
- 会社が違っても1年間継続して被保険者であれば問題ありません
- 保険者が違っていても問題ありません
- 健康保険任意継続の被保険者期間は除きます
● 退職日の前日までに、待期期間(療養のための労務不能となった日から継続した3日間)があること
待期期間の3日間は、有給・無給どちらでも構いません。土日祝日や、会社の公休日でも可です。
● 傷病手当金の受給開始から1年6ヵ月以内であること
なお、退職後に傷病手当金の申請をする場合でも、申請対象期間に在職期間が含まれている場合は、在職期間について事業主の証明が必要です。
◇ 質問6:賞与と傷病手当金は両方もらえる?
Q |
業務外の病気やケガで会社を休んだ期間に賞与の支給があった場合、健康保険の傷病手当金はもらえませんか?
A |
もらえます。
基本的には、1年に3回以下しか支給されない一般的な賞与であれば、休業期間中に支給された場合でも、傷病手当金を減額されずそのままもらうことができます。
ただし、年俸制の場合等で、事前に支給額が確定している給与を、便宜上賞与として支給している場合は、賞与ではなく給与とみなされて調整対象となりますので注意が必要です
◇ 質問7:一度受給した後、復職して再度休む場合、傷病手当金はもらえるの?
Q |
会社を1年間休職し、傷病手当金の受給を受けていましたが、病気が快復したので仕事に復帰しました。ところがまた症状が悪化し休職することになった場合、傷病手当金は受けられますか?
A |
支給期間を通算して1年6か月になるまで傷病手当金を受けることができます。
今回のケースでは以前に1年間の期間を受給していたとのことなので、最大で残り6か月の期間について支給されます。
◇ まとめ
傷病手当金につきましては、「協会けんぽ」のHPに詳しい記載があります。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139
また、お役立ちコラム「傷病手当金について」にも記事を掲載しております。
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※最終更新日時点での法令に基づく内容となっております。
(執筆者:中西)
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