お役立ちコラム

解雇予告手当を支給せずに即時解雇する方法があると聞いたのですが?

解雇予告手当を支給せずに即時解雇する方法があると聞きました。どのような手続が必要でしょうか?

事前に、労働基準監督署で「解雇予告除外」の認定を受ける必要があります。

 

解雇を行うときには、解雇しようとする従業員に対し、30日前までに解雇の予告をする必要があります。予告を行わずに解雇する場合は、最低30日分の平均賃金を支払わなければなりません。

例外として、「従業員の責に帰すべき理由による解雇の場合」や「天災地変等により事業の継続が不可能となった場合」には、解雇予告や解雇予告手当の支払いをせずに即時に解雇することができます。ただし、解雇を行う前に労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受けなければなりません。

 

労働基準監督署では「従業員の責に帰すべき事由」として除外認定申請があったときは、従業員の勤務年数、勤務状況、従業員の地位や職責を考慮し、次のような基準に照らし使用者、従業員の双方から直接事情等を聞いて認定するかどうかを判断します。

① 会社内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があった場合

② 賭博や職場の風紀、規律を乱すような行為により、他の従業員に悪影響を及ぼす場合

③ 採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合

④ 他の事業へ転職した場合

⑤ 2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合

⑥ 遅刻、欠勤が多く、数回にわたって注意を受けても改めない場合

 

留意すべき点としては、社内で懲戒解雇と処分されても、解雇予告除外認定が受けられない場合もある事です。この場合は、通常どおり30日前までに解雇予告を行うか、解雇予告手当を支払う必要があります。

 

関連コラム

障害者の法定雇用率 段階的な引き上げ決定
障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。(令和6年4月以降)目次障害者の法定雇用率の段階的引き上げ常用雇用労働者、障害者のカウント方法除外率の引き下げ障害者雇用のための事業主支援1.障害者の法定雇用率の段階的引き上げ民間企業の法定雇用…
治療と仕事の両立支援を考えましょう
【会社が治療と仕事の両立支援を行う意義】「治療と仕事の両立支援」とは、病気を抱えながらも働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受け…
SDGs達成のために人事部門が取り組むべき施策とは?
ここ数年、ニュースなどで大々的に取り上げられることが多いSDGs、企業経営の中では避けては通れないテーマとなっています。その中で、人事労務担当者として自社のSDGsについて取り組む場合、具体的にどのように進めていけば良いでしょうか。17ある…
男女の賃金差異の公表が義務化されます!
令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がされ、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務づけられることとなりました。【法改正の背景】日本における男…
社内だけでは済まされない!社外関係者とのハラスメント対策について
2019年5月、改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が成立しました。改正法は、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されています。パワハラ防止法において事業主に求められていることは、自社の雇用する労働者間にお…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。