お役立ちコラム

労働時間の適正な把握ができているかどうか確認したいのですが・・・

当社では、一日の労働時間数を社員自ら記録してもらっていますが、このような方法は、会社として労働時間の適正な把握がきちんと行なえていると考えてよいのでしょうか。

通達では、使用者は、労働時間を適正に管理するために、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録しなければなりません。ご質問のように労働日ごとの労働時間数の把握のみをもって管理している場合、「適正な把握」とは言えません。次に、労働時間を記録する方法についてですが、原則として以下のいずれかの方法でなければなりません。(1)使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。(2)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

これは、使用者自らがすべての労働時間を現認する場合を除き、タイムカード、ICカード等の客観的な記録をその根拠としなければなりません(または根拠の一部としなければなりません)。

 

一方、自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行わざるを得ない場合であっても、使用者として、以下の措置を行なえば、「適正な把握」として認められることになります。

(1)自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。

(2)自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。

(3)労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合には、改善のための措置を講ずること。今回のご質問については、労働日ごとの始業・終業時刻を記録するようにし、自己申告制を行う場合の措置を講じることができれば、労働時間を適正に把握しているということになると思われます。

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