お役立ちコラム

時間単位の年次有給休暇付与の最小単位は1時間でしょうか?

今回の改正に伴い、年次有給休暇を「時間単位で設定することが可能」 になりますが、「1時間」以外の時間を単位として設定することは可能なのでしょうか?

「1時間」以外の単位を設定する事は可能です。

労使協定によりその単位となる時間数も定める必要があります。

年次有給休暇の時間単位数は必ずしも「1時間」で設定しなければならない訳ではありません。「2時間」、「3時間」を単位として設定しても問題ありません。しかし、「1.5時間」・「3.5時間」といった1時間に満たない端数が生じる単位で設定することはできません。

また、労基則では、対象となる従業員の「1日の所定労働時間数に満たない」時間を単位として設定することと明記されています。(24条の4第2号)

例えば8時間を所定労働時間とする会社の場合は「8時間」を単位として設定する事はできません。1日の所定労働時間数と同じ時間を年次有給休暇の時間単位として設定しても、本来は1日単位である年次有給休暇を分割して取得できるようにした時間単位年次有給休暇の意味がなくなってしまうからです。もちろんこの場合、「9時間」の単位で設定する事もできません。1日の所定労働時間数を上回る時間数を単位としても、現実に取得することが不可能となってしまうからです。この場合、「1時間」単位以外で設定できるのは「2時間」・「3時間」・「4時間」・「5時間」・「6時間」・「7時間」となります。(実状に則して考えると「6時間」・「7時間」等を設定する事は考えにくいと思いますが。)

また、所定労働時間が異なる短時間従業員がいる場合はその方々に関する時間単位の設定も別に設ける必要があるので注意が必要です。例えば同じ事業場に所定労働時間が8時間のフルタイム従業員と所定労働時間が4時間の短時間従業員がいた場合、フルタイム従業員に関しては「7時間」までの整数単位の設定が、短時間従業員に関しては「3時間」までの整数単位の設定が可能であり、各々労使協定により定める必要があります。

関連コラム

令和7年度地域別最低賃金額改定について
先日開催された第71回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。【答申のポイント】(ランクごとの目安)各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円。注…
「企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的支援ツール」が公表されました!
令和7年4月1日より、「介護離職防止のための雇用環境整備」や「介護離職防止のための個別の周知・意向確認等」が義務化されましたが、対応は進められているでしょうか。この度、厚生労働省から「企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的支援ツ…
採用面接などで具体的に気をつけることは?
採用選考は企業と応募者の最初の接点です。企業の信頼性を高め、トラブルを防ぐためにも、基本的な考え方や注意点を押さえておきましょう。1.採用選考の基本的な考え方について採用選考は、「人を人として見る」人間尊重の精神、すなわち、応募者の基本的人…
障害者を雇用する上で必要な3つの手続きをご存知ですか?
従業員40人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項)。毎年報告時期になりますと、事業所に報告用紙が送付されてきますので、必要事項を…
職場における熱中症対策が強化されます!
今回は職場における熱中症対策として改正労働安全衛生規則が施行されますのでお知らせいたします。次の表からも2年連続で死亡者数が30人レベルであることなどから、死亡に至らせない(重篤化させない)ための適切な対策の実施が必要となります。具体的には…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。