お役立ちコラム

遡って健康保険の扶養を外す際はどのようにすればよいでしょうか?

年末調整時に、社員の配偶者が年の初めに就職して税法上も健康保険上も扶養の認定基準を超える収入を得ていることが判明しました。確認したところ、勤務先で保険証が発行されていても、夫の被扶養者分の保険証を使用していたこともわかりました。

このような場合、どのような手続きを踏めばよいでしょうか。また、扶養を外れたときからの療養費の負担等はどのようになるのでしょうか。

まず、扶養を外す手続きとして、健保組合への被扶養者異動届の提出が必要となります。遡って異動届を出す場合、少し時間が経過している場合で、社員の方ご本人に遅延の理由書などを提出していただくなどの対応が必要となる場合があります。夫の加入している健康保険組合に確認をして、速やかに手続きを済ませてください。

続いて、療養費の負担についてですが、扶養を外した時以降にかかった療養費の夫の健保組合への返還の時効は、健康保険法での定めがないため民法が適用となり、10年までは遡って返還請求されることになります。

対して、妻自身の組合への療養費の請求は、健康保険法に定められた通り2年が時効となっておりますので、2年までしか遡って請求することができません。このケースの場合は、加入時に遡り請求することが可能となりますが、仮に3年前に遡り扶養を外した場合、夫の健康保険組合への返還は3年になりますが、逆に妻の健保組合への請求については、可能となる請求期間は2年となり、加入当初の1年分については、10割自己負担となってしまいますので、ご注意ください。

このようなケースは年末調整時や、健康保険組合の扶養状況調査の際に発覚しやすい事例です。健康保険の扶養については、上記のような影響がありますが、税法上の扶養を年末に外す場合、年末調整の際に扶養控除額に影響があり還付されると思っていた税金が逆に徴収となるケースも多々あります。

扶養の異動が発生した場合は、事象が発生したら、速やかに手続きができるように周知されることをおすすめします。

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