お役立ちコラム
公益法人会計基準の改正と財務諸表の変更点
はじめに
今回の経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムは、公益法人会計基準の改正と財務諸表の変更点についてです。
2025年4月1日から改正された公益法人会計基準及びその適用指針の適用が開始されました。
本コラムではその中で財務諸表の変更点を中心にまとめていきます。
なお便宜的に本コラムではこれまでの公益法人会計基準を旧公益法人会計基準、改正された公益法人会計基準を新公益法人会計基準と記載します。

公益法人とは
1.公益法人とは
公益法人(公益社団法人又は公益財団法人)は、民間の公益活動によって、公益の増進及び活力ある社会の実現に資することを目的として、認定法に基づく認定を受けて公益目的事業を行う非営利の一般法人(一般社団法人又は一般財団法人)です。公益法人は、非営利法人として、外部の資源提供者から反対給付を伴わない資源提供を受け、これを主な財政的基盤として、当該法人の組織目的を達成するための活動を行うことが一般的です。
2.公益法人のステークホルダー
公益法人には、資源提供者、債権者、受益者、従業員、ボランティア従事者、地域住民、行政庁といった多様なステークホルダーが存在しますが、このうち特に資源提供者(財産拠出者、寄付者、会員、補助金等の提供主体など)が、公益法人における組織目的を達成するための活動の基盤となる重要なステークホルダーとなります。
財務諸表における相違点
1.貸借対照表
旧公益法人会計基準では貸借対照表は、資産の部、負債の部及び正味財産の部に分けられ、更に資産の部を流動資産及び固定資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に、正味財産の部を指定正味財産及び一般正味財産に区分していました(基金を設定した場合は基金にも区分)。なお公益法人が基本財産又は特定資産を有する場合には、固定資産を基本財産、特定資産及びその他固定資産に区分するものとしています。
a. 基本財産
定款において基本財産と定められた資産であり、公益法人の事業活動の遂行に必要な財産。常識的な運用益が得られ又は利用価値を生じるとともに財産的価値が確実で減価しない資産。基本財産に適合する資産は預貯金や国債等の有価証券、土地など。
b. 特定資産
法人が特定の目的のために使途、保有又は運用方法等に制約がある資産。
c. その他固定資産
基本財産及び特定資産に分類された固定資産以外の全ての固定資産。
d. 指定正味財産
寄付によって受け入れた資産で、寄付者等の意思により当該資産の使途について制約が課されているもの。
e.一般正味財産
正味財産の内、指定正味財産以外のもの。
なお指定正味財産は、外部から「使い道の制限」をかけられている財産です。そのため、それに対応する具体的な資産は、必ず「基本財産」か「特定資産」のどちらかに分類して保管しなければならないと決められていました。(「その他固定資産」や「流動資産」に放り置いてはいけない)
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-資産の部 - |
-負債の部 - |
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流動資産 |
流動負債 |
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固定資産 |
固定負債 |
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・基本財産 |
-正味財産の部 - |
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・特定資産 |
・(基金) |
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・その他固定資産 |
・指定正味財産 |
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・一般正味財産 |
一方で新公益法人会計基準では貸借対照表は、資産の部、負債の部及び純資産の部の三区分に分けられ、更に資産の部を流動資産及び固定資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に区分します。
そして純資産は基金、指定純資産、一般純資産、その他有価証券評価差額金に区分表示されます。
固定資産の表示に関してはこれまで基本財産、特定資産、その他固定資産と区分していましたが、新公益法人会計基準では有形固定資産、無形固定資産、その他固定資産と区分が変更されました。
これにより例えば旧公益法人会計基準で基本財産や特定資産となっていた預金は流動資産として扱われるといった変化があります。
a. 指定純資産
資源提供者との合意により、使途の制約を受ける資源。制約とは提供を受けた資源の使途、処分、保有形態又は使用時期について制約が課されている状態をいう。資源流入時点での使途の制約は、制約の解除の時までその効果が認められる。
b. 一般純資産
公益法人が自らの活動目的を達成する観点から自ら使途を決定できる資源をいう。
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-資産の部 - |
-負債の部 - |
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流動資産 |
流動負債 |
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固定資産 |
固定負債 |
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・有形固定資産 |
-純資産の部 - |
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・無形固定資産 |
・(基金) |
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・その他固定資産 |
・指定純資産 |
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・一般純資産 |
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・(その他有価証券評価差額金) |
2.正味財産増減計算書・活動計算書
正味財産増減計算書は、事業年度における正味財産の全ての増減を明らかにする計算書です。
当該計算書は一般正味財産増減の部と指定正味財産増減の部とに区別され、さらに一般正味財産増減の部を経常増減の部・経常外増減の部に区分し、経常増減の部を経常収益と経常費用、経常外増減の部を経常外収益と経常外費用とに区別しています。
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-一般正味財産増減の部 - |
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経常増減の部 |
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・経常収益 |
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・経常費用 |
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経常外増減の部 |
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・経常外収益 |
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・経常外費用 |
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-指定正味財産増減の部 - |
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-正味財産期末残高 - |
一方で旧公益法人会計基準における正味財産増減計算書は、新公益法人会計基準では活動計算書と名称が変更されました。
旧公益法人会計基準で定められていた一般正味財産像減の部、指定正味財産増減の部の区分は廃止され、一般純資産・指定純資産を合わせた合計値で経常活動区分に経常的な活動から生じた収益費用である経常収益、経常費用を記載し、その他活動区分には固定資産売却損益や減損損失等の経常活動により発生する項目以外の項目としてその他収益、その他費用を計上し、差額で税引前当期収益費用差額を算定し、最終的に当期収益費用差額を求める様式となりました。
ただし一般正味財産増減の部・指定正味財産増減の部の区分は、財源区分別注記として表示する必要があります。
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-経常活動区分 - |
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経常収益 |
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経常費用 |
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-その他活動区分 - |
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その他収益 |
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その他費用 |
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-税引前当期収益費用差額 - |
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法人税、住民税及び事業税 |
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-当期収益費用差額 - |
3.キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書については特にその作成義務の基準が大きく変わりました。
旧公益法人会計基準では会計監査人を設置する必要のある法人、すなわち収益の額1,000億円以上、費用及び損失の額1,000億円以上、あるいは負債の額50億円以上の法人が作成する必要がありました。
一方で新公益法人会計基準ではキャッシュ・フロー計算書の作成義務は、収益又は費用が100億円以上若しくは負債が50億円以上で会計監査人の設置が義務付けられる法人となりました。
おわりに
今回は2025年4月1日からはじまった新公益法人会計基準について、特に財務諸表がどう変わったのかを中心にまとめていきました。制度自体はもうスタートしていますが、現状はまだ経過措置期間であり、強制適用となるのは2028年4月1日以後に開始となる事業年度からです。本コラムが皆様の強制適用前の制度理解における一助になりますと幸いです。
経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムをお読みいただきありがとうございます。次回のコラムでまたお会いしましょう。
執筆者:笠井
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