お役立ちコラム

アウトソーサー選定時の留意点 その3


No6 アウトソーサー選定時の留意点 その3

経理アウトソーシング(BPO)を導入する際にアウトソーサー選定に関する最終回として、見積入手後の留意点等について見ていきたいと思います。

見積もり入手後の選定



重視している点は、なにか


アウトソーサーを選定するにあたり、重視すべき点はなんでしょう。

それは会社の置かれている状況により異なるでしょう。

経理アウトソーシング(BPO)する目的がコスト削減の観点であれば、その重点は価格に置かれますし、精度の向上や早期化への対応ということが目的であれば、価格もさることながら、品質も一定のレベルを確保する必要があるでしょう。

今後の業務をまかせるアウトソーサーを選定するわけですから、セキュリティも万全でなくてはなりません。

会社としてアウトソーサーを選定する基準やある程度の予算の目安などを事前に設定した上で、アウトソーサーを選定する必要があります。


コストと品質のバランスで考える


コストだけで比較してしまった結果、アウトソーサーの質が低く、自社の社員がその教育のための時間を浪費したり、また、手戻りが生じることにより、内部の手間が二重三重に生じてしまうこともあります。

あるいは、コストを抑えた結果、委託する業務範囲が中途半端になり、処理の流れが社外と社内に分断されることにより、かえって効率が悪くなる場合があります。

逆に、コスト面では劣っていたとしても、アウトソーサーの質が高ければ、内部だけではわからなかった気づきや新制度への知識などの情報が入ってくることにより、自社の社員の知識向上につながるケースもあるでしょう。


コストメリットをトータルで考える


会社で保有している会計システムを使用するにあたっては、初期のソフトやサーバーの購入コストのほか、継続的に保守料が発生し、サーバーの管理をするための要員が必要になったり、改正のたびにバージョンアップが必要になったりといった作業が発生しています。

実は、アウトソーサーのシステムを利用することにより、そのようなコストが削減できる場合もあります。選定にあたっては、そのような付随的なコストもすべて勘案した上で、比較検討する必要があるでしょう。


移行に関して主導的な立場でのアドバイスが可能か


経理アウトソーシング(BPO)への移行について、会社側は経験豊富なわけではありません。

また、通常業務をこなしながら、経理アウトソーシング(BPO)への移行準備を進めていくのは、かなり負荷のかかるものです。

そのような場合に、

    aoten.jpg 豊富な経験に基づき十分なアドバイスを受けることができるか

    aoten.jpg 主導的な立場で経理アウトソーシング(BPO)の導入をサポートしてもらえるか

というのも選定にあたっての重要な要素になるでしょう。

また、経理アウトソーシング(BPO)への移行と同時に会計システムの切替も予定している場合、アウトソーサーによっては、システムに関するアドバイスを受けながら選定をすることも可能な場合があります。

外部のコンサルタントと異なり、アウトソーサーはそのあとの会計業務自体を行うわけですから、コンサルが終わって、いざ使用するときに不都合が生じても知らんぷりということにはなりませんし、実際の業務を行う観点から、現実に即したアドバイスを期待できるといえるでしょう。

継続性に問題のないアウトソーサーか確認する


今後も長きにわたりパートナーシップを築ける会社か

アウトソーサーに業務を移管することは、それなりの労力を要します。

もし、頻繁にアウトソーサーを変更するような事態になれば、そのたびに、選定、引き継ぎなどの労力を費やすこととなります。

そのような事態にならないためにも、アウトソーサーを慎重に選定する必要があることは当然のことですが、そもそもそのアウトソーサー自体が、

今後も経理アウトソーシング(BPO)事業を継続していくのか

会社自体が存続していくのか

ということをチェックすることも必要です。

実績のあるアウトソーサーであれば、継続性の点で安心できるだけでなく、アウトソーサーとしての経験が豊富ともいえますから、さまざまな事例からの知見を得ることもできる期待があります。

必要に応じて、社歴や人員数、業務実績などの情報を収集し、総合的に継続性に問題のない会社か確認しましょう。

また、確認に際しては、資料だけの情報ではなく、実際にアウトソーサーの会社に出向いて確認するということも有効です。

また、長く付き合っていくパートナーとなるわけですから、自社との相性や、アウトソーサーの担当者の雰囲気や社風などを考慮にいれた選定をすることも重要といえるでしょう。


情報の管理体制は適正か


アウトソーサーには経理の重要な情報や公開していない企業秘密、自社のノウハウなど様々な情報を預けることになります。

また、経理処理に際して、各種契約書や人事情報を渡すことも想定されます。

そのような情報の管理体制が杜撰な場合、アウトソーサーから情報が漏えいするリスクがあります。

また、そもそも、アウトソーサーが反社会的勢力とつながりがある会社であった場合、コンプライアンスの観点から取引をするにはリスクがあるでしょう。

また、有事の際にどのような体制で業務を実施してもらえるのか等BCP(事業継続計画)の対策などについてもチェックすべきでしょう。


品質の管理体制は適正か


アウトソーサーは専門家とはいえ、アウトソーサー内部でのチェック体制が確立していない場合、その品質は、担当者個人の能力に依存してしまうこととなります。

そのため、成果物に対するチェック体制がどうなっているのか、担当者個人の能力に不足があった場合のバックアップ体制がどうなっているのかなど、品質が担保される管理体制となっているかについて、確認しましょう。


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