お役立ちコラム
アウトソーサー選定時の留意点 その1
No4 アウトソーサー選定時の留意点 その1
今回から数回にわたって、経理アウトソーシング(BPO)を導入する際に、どのような視点でアウトソーサーを選定していくべきかという点について見ていきたいと思います。
どの機能を経理アウトソーシング(BPO)するのか決定する
自社の現状について分析する
目的が決まったら、どの機能を経理アウトソーシング(BPO)するのか検討します。検討するにあたって、「SWOT分析」の方法などを用いて、自社の現状での強み、弱みや人員の余力はあるのかなどを分析します。
現状、明らかに弱い部分があるのであれば、その部分を経理アウトソーシング(BPO)するのは会社としてのリスクを回避する意味でも有効な方法といえます。
一方で、人員に余力があるのであれば、その弱みの部分を経理アウトソーシング(BPO)し、アウトソーサーのノウハウを利用し、いったん整備した上で自社に戻すといったやり方もあるでしょう。
すでに確立されているルーティン業務を経理アウトソーシング(BPO)することにより、社員をコア業務に集中させるといった方法も考えられます。
このように自社の業務を分析することにより、経理アウトソーシング(BPO)すべき業務と社内に残すべき業務の方向性を決定しましょう。
経理アウトソーシング(BPO)が最善の方法か?
目的と業務内容が決まれば、おのずとどのような点を重視して選定すべきかが見えてくるかと思います。ここで選定に入る前に、もうひとつ考えておくべきことがあります。それは、その目的を達成するための手段は経理アウトソーシング(BPO)が最善なのか?ということです。
たとえば、「退職による業務の引き継ぎ者不在」という理由によるきっかけであれば、
派遣社員の活用
正社員の雇用
という選択肢があります。
また、「最新の情報についていけない」と感じているのであれば、
定期的な研修会への参加
顧問税理士への情報提供の依頼
といった選択肢があるでしょう。
このように、即経理アウトソーシング(BPO)!ということではなく、さまざまな選択肢を前提に、それぞれのメリット、デメリットを考慮した上で、最善の方法を導き出す必要があるといえるでしょう。
効率よく経理アウトソーシング(BPO)するための準備をする
非効率なままでは無駄なコストがかかる
経理でかかえている業務の中には、非効率な方法で業務を行っている部分が多くあります。
また、たとえ非効率だとわかっていたとしても、現在の業務負荷がよっぽど過大でない限りは、その方法を変える労力よりも非効率性をとる方向に向かいがちです。
このように社内で、人員をかかえている限りにおいては、非効率な方法により仕事をしていることについて、問題意識はあるものの、大きく問題視するほどのことではなく過ぎていくことでしょう。
それは、そのための人員を確保しており、効率を高めてその人材を別の業務に活用するという道がない限り、固定費は効率的でも非効率でも変わりがないからです。
しかし、経理アウトソーシング(BPO)はどうでしょう。多くはその業務時間や業務量により支払うべき報酬額が決まります。
つまり、「非効率であればあるほど、その報酬額は多額に」なってしまうのです。
また、そのままのかたちで経理アウトソーシング(BPO)が定着してしまうと、再び、その方法を変えるには労力を要することから、導入前あるいは導入初期に効率性の検討が望ましいといえます。
専門家の目を通してチェックしてもらう
自社は効率よく業務を行っているから、見直す点はないよ、と思っているかもしれません。はたしてそうでしょうか?
弊社でもヒアリングの段階で、
「本当にこの作業は必要なのだろうか?」
「なぜ、似たような作業や資料作成を何度も行うのだろう?」
「システムを活用したら、この作業は不要なのでは?」
と思うようなケースに数多く直面しますが、この場合の会社側の認識は、
・非効率性は認識しているが、今までのやり方を変えるのは難しいと考えている
というのが多数ではあるものの、一方で、
・そのような方法しか知らないために非効率であることにすら気づいていない
ケースもあるのです。是非、経理アウトソーシング(BPO)をきっかけとして、専門家であるアウトソーサーの視点を活用した効率的な業務フローの再構築を検討しましょう。
なぜ前準備をするのか
このような前準備は、経理アウトソーシング(BPO)コストを抑えるという点だけでなく、効率的な方法を検討するにあたり、現在の業務の流れを洗い出す必要があるため、ブラックボックス化しがちな経理業務を把握するよい機会ともいえます。
アウトソーサーに委託した結果、失敗してしまう例の多くは、このような委託前の現状の把握、分析ができていなかったことにより、両者に認識の相違が生じてしまった、という理由によるものが多いといえるでしょう。
もちろん、経理アウトソーシング(BPO)導入後に、さらなる効率化のために改善を加えていくということは必要なことですが、経理アウトソーシング(BPO)導入を機に、ある程度の効率化は進めておくことをまずは検討しましょう。
システムの活用もあわせて検討する
効率性の追求という意味では、システムの活用が効率化への近道といえます。
一方で、システムの投資には多額の費用を要しますので、管理部門である経理部門でそのような予算をねん出するのは難しい場合も多いでしょう。
アウトソーサーの中には、アウトソーサー側で所有しているシステムを安価な利用料で使用できるようなサービスを提供している場合もあります。
もし、システムの導入も合せて検討するのであれば、まずはアウトソーサーが提供しているサービスを確認しましょう。
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