お役立ちコラム

小切手の取り扱いの実務 手形との違い

小切手とは


小切手は有価証券の一種です。銀行に当座預金口座を開設し、小切手帳の交付を受けると小切手の発行が出来る様になります。小切手は紛失や盗難があったとしても銀行に連絡を入れる事で支払いを停止する事ができるため、現金に比べて低リスクな決済方法であると言えます。

小切手には、法律によって記載しなければならない事項が定められています。以下に記載する8項目に不備があると有効な小切手とみなされませんので注意しましょう。


  1. 小切手文句   小切手である事を示す文言
  2. 小切手金額   支払金額
  3. 支払委託文句  小切手を持参した人への支払いの実行を指示する旨の文言
  4. 支払地     支払人の住所(金融機関の住所)
  5. 支払人の名称  金融機関名
  6. 振出日     小切手を発行した日
  7. 振出地     振出人の住所
  8. 振出人の署名  振出人の署名と押印



金額欄は、金額の前に「¥」を入れ、終わりには「※」を記入します。手書きで金額を記入する場合には、算用数字を避け、漢数字で記入する必要があります。手書きの算用数字で金額が記入された小切手は、その偽造のリスクから、金融機関に支払を拒否されてしまいますので、発行時・受け取り時ともに特に注意が必要です。

小切手の使い方


小切手の使い方は下図の通りとなります。


【支払う側 発行者・振出人】

準備
①小切手を振り出すには、金融機関と契約を結び、当座預金口座を開設します。
②当座預金口座に資金を預け入れます。
➂金融機関から小切手帳の交付を受けます。
④支払のために小切手を振り出します。


【受ける側 受取人・持参人】

⑤小切手を受け取った者は、振り出された小切手を銀行に持ち込みます。
⑥小切手と引き換えに銀行から現金を受けとります。
(※⑦振出人の当座預金より、支払が行われるので、残高が減少します。)

小切手2.png

実務上の注意


【支払う側 発行者・振出人】

小切手の振り出しを行う際は、まずはその支払が正当なものであるかどうか、証憑書類の確認を行うことが必要です。また、発行時には預金残高が充分にあるか、資金繰りの確認を行いましょう。受取人が金融機関に小切手を持ち込んだ際に、預金残高が不足していると、最悪の場合、小切手は不渡りとなり金融機関との取引停止を余儀なくされる可能性があります。このような事故を防ぐために、小切手帳で未決済の小切手の残高管理を行い資金不足が発生しない様に管理を行いましょう。また、内部統制上の観点からは、小切手の管理を一名の担当者で行う事は好ましくありません。作成者と押印者は分けるなど、必ず複数人の目が入るようにする事も必要です。


【受ける側 受取人・持参人】

小切手を受け取った者は、受け取った小切手が8要件を満たしているか、確認を行いましょう。8要件を満たしていない小切手は無効とみなされ、金融機関から記載金額の払いはされません。また、小切手は振出日の翌日から10日間が支払提示期間となります。金融機関への取り立ては支払提示期間内に行う必要があるため、期日管理の徹底も必要です。銀行休業日も提示期間に算入されますので注意してください。また、小切手は受け取ったらすぐに管理台帳に、日付、振出人、金額等の情報を記録し、ただちに金融機関に持ち込まない場合には金庫等で保管を行ってください。管理台帳に記録を残すことで取り立ての漏れや万一、小切手の紛失が発生した場合でもその情報をもとに速やかな対応をとる事が可能となります。

小切手と手形の違い


ここまで、小切手の概要について説明を行いました。手形の処理と似ている部分もあり混乱しやすい項目です。主な違いを下表にまとめましたので参考になさって下さい。

小切手3.png

まとめと復習


◆まとめ

小切手とは

・決済方法の一種
・小切手で支払いを行うためには、当座預金口座の開設が必要
・小切手を受け取る側は当座預金口座が無くても問題ない
・小切手は振出後、直ちに支払がされる事を前提としている
・取り立て時に預金残高が無いと小切手の不渡りを発生させる可能性がある
・小切手の不渡りは最悪の場合、金融機関との取引停止処分となる可能性がある

◆復習

次の選択肢のうち、小切手の要件に含まれないものはどれか

(1)金額
(2)振出人の署名
(3)受取人の名称
(4)振出日




◆(3)

小切手の要件として、支払委託文句がある。支払委託文句とは、小切手を持参した人への支払いの実行を指示する旨の文言であり、金融機関に小切手を持ち込んだ者へ支払を行うという前提があるので、受取人の名称の記載は必須では無い。(ただし、受取人名称の記載が禁止されているわけでは無い。受取人の名称の記載がある小切手は手形と同様、裏書により譲渡することができる。)

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