お役立ちコラム

青色申告(法人)

 

青色申告制度の概要

 

法人税の申告には、白色申告と青色申告があります。青色申告は会社に日々の取引を記録した一定の帳簿書類の備え付けと保存を義務付ける代わりに、法人税を計算する上で、白色申告よりも有利な特典を認めています。

なお、青色申告をするには、以下の様な条件を満たす必要が有ります。

  • 青色申告承認申請書を提出して承認を受ける
  • 複式簿記による記録を行う
  • 一定の帳簿書類を備え付け、保存する

青色申告は、税務署長の承認を得ることで青色申告事業者に該当し、税制上の各種特典度受けることが出来ることとなります。承認を得ずに勝手に青色申告をしても却下されるので、注意が必要です。

 

青色申告承認申請書について

 

会社設立当初より青色申告をするためには、設立後3ヶ月か設立事業年度終了日のいずれか早い日の前日までに「青色申告の承認申請書」を所轄の税務署長に提出し、承認を受ける必要があります。

青色申告の承認申請書は、法人設立時に必ず提出する書類ではありませんが、この書類を提出しておくことで、法人の青色申告に関するメリットを享受することができるため、法人設立時の段階で青色申告の承認申請書を提出しておくことが大切です。

 

青色申告の承認申請は、青色申告が承認されたとしても、税務署から結果についての連絡は特になく、連絡が有るのは申請が却下された場合のみです。そのため申請書に記載した承認の対象事業年度終了日までに却下の通知が無かった場合、その日をもって申請が承認されたものとみなす事(みなし承認)となっています。

 

青色申告のメリット

 

1.青色欠損金の繰越控除

 

法人税の計算は事業年度ごとに、所得に対し税金が課されますから、黒字が生じた年は税金を支払い、赤字の生じた年は税金を支払う必要がありません。青色欠損金の繰越控除とは、毎期の所得を計算する上で、赤字(欠損金)を繰り越すことができ、その間に生じた黒字と相殺(控除)することができる制度です。

つまり欠損金とは、赤字になった金額のことを指し、欠損金の繰越控除とは、過去に発生した赤字を翌年以降発生する黒字と相殺できる制度です。

 

一方で注意が必要なものとして、その欠損金がどの事業年度に発生した金額を把握する必要があります。それは欠損金が発生した年度の税法に従って繰越年数が変わることがあるため、すべての欠損金が同一年間の繰り越しができるわけではないので、それぞれの欠損金の繰越年数を把握することが大切です。

また、大法人及び一定の法人については事業年度に応じて控除限度額が制限されますので、その点も注意が必要となります。

 

2.青色欠損金の繰戻還付

 

青色欠損金の繰越控除とは逆に、その事業年度が黒字で法人税を支払った翌期に赤字となってしまった場合に、その赤字を前期に繰り戻して法人税を還付できる制度となります。なお、繰り戻しできる期間は前1年間のみで、資本金1億円以下の中小企業のみが適用することが出来ます。ただし、資本金・出資金が5億円以上の法人の100%子法人等は適用対象から除かれます。

 

3.特別償却・特別控除

 

法人が一定の要件を満たす設備投資や人材投資を行った場合に、減価償却費を通常より多く計上できる特別償却や、法人税から一定額を控除することができる特別控除が認められています。なお特別償却・特別控除の制度により、資本金の額に応じてどちらか一方のみの選択しかできないこともあるため、特典を受ける制度の内容を理解し、特別償却・特別控除を選択する必要があります。

 

4.少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

 

資本金1億円以下の中小企業が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、全額を費用とすることが出来ます(年間300万円までという制限はあります)。

※ この特例の対象となる法人は青色申告法人である一定の中小企業者等で、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人に限られます。

 

まとめ

 

白色申告は青色申に比較して簡易的な記帳が認められますが、ほとんどの法人の記帳はパソコン等で行われるため、白色申告と青色申告の事務負担に実質的な差異はほとんどないのが現状です。また、通常の法人であれば経理の担当者がいらっしゃるでしょうし、いらっしゃらないのであれば外部に依頼するなどで対応されることがほとんどでしょう。

法人の青色申告の割合はそのメリットが大きいことから、ほとんどの法人が青色申告による各特典を享受し経営されています。(個人の青色申告についても、白色申告の簡単な経理処理のメリットがほとんどなくなったことから年々増えているようです。)

青色申告の各種特典の適用を受けることでタックスメリットを大きく享受することができるので、いまや法人・個人ともに青色申告が当たり前となっていることが現状です。また取引を正確に記録し、把握することは経営するうえでも重要なことなので、青色申告の申請をしていないと後々後悔をすることがありますので、忘れずに申請をしておきましょう。

 

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執筆者:菅谷

写真提供:123RF

 

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