お役立ちコラム

司法書士等の報酬について1回の支払金額の意味とは?

司法書士等に支払う報酬については、1回の支払金額から1万円を控除した残額に対し所得税を源泉徴収することになっていますが、この場合の「1回の支払金額」というのは、領収書ごとに判定すればよいのでしょうか。

まず、司法書士の報酬について1回の支払金額から1万円を控除する理由は、司法書士の仕事として、銀行や不動産屋さんからの登記簿謄本取得依頼が多く、この謄本取得手続きの報酬は、1件1万円以下になることがほとんどです。そこで、依頼する度に、源泉徴収をしていたのでは実務上面倒だから1万円以下の報酬については、源泉徴収不要という立法がされたのではないかとされています。

本題ですが、司法書士、土地家屋調査士等の業務に関する報酬又は料金について所得税の源泉徴収の対象となる金額を計算する場合の基礎となる「1回の支払金額」とは、1つの委託契約ごとに支払われる金額をいいます。ただし、一定期間ごとにその期間の委託契約に基づく報酬、料金がまとめて支払われる契約となっている場合には、そのまとめて支払われる金額をいいます。なお、この場合 1の委託契約ごとに支払われる金額であるかどうかは、契約の実体に応じて判定するので、委託契約を故意に数回に分割して1回の支払金額を1万円以下としたようなときは、源泉徴収を要しないものとはならないので注意してください。

<参考文献等>

国税庁HP

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2801.htm

執筆者:高田

 

関連コラム

源泉所得税の「納期の特例」総まとめ!
■ 源泉所得税の納付 p; 自社の従業員に給料を支払うときや弁護士、税理士等に報酬を支払うときには報酬額から源泉所得税を控除して、その控除した源泉所得税を税務署に納める必要があります。この源泉所得税の納付期限は原則として、支払をし…
退職所得控除額の計算方法の注意点-2回目の退職金の支給を受けた場合-
今回は、転職に伴い退職金の支給を複数回受けた場合の退職所得控除額について説明します。 p; ■ 基本的な退職所得控除額の計算方法 p; 退職所得の金額計算に必要な退職所得控除額は、退職金の支給を受けた会社での勤続年数に応…
日本とデンマークの新租税条約(源泉所得税)
「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約」(以下「新条約」といいます。)が平成30年12月27日に発効し、源泉所得税については平成31年1月1日から適用が開始されること…
派遣会社への業務委託料、源泉徴収は必要?
この度、弊社で人材派遣を利用することになりました。派遣社員を雇用する場合、派遣会社に支払う業務委託料に対して源泉徴収の必要はあるのでしょうか?
外国法人に対する原稿料の支払いをする場合、源泉徴収は必要?
非居住者の方に、会社のパンフレットに使用する原稿を作成してもらったので対価として原稿料を支払いました。この場合、源泉徴収しなければならないのでしょうか。

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。