お役立ちコラム

被災者が作成する契約書の印紙税は税務上優遇されるのか!?

弊社は、不動産会社を経営しておりますが、東日本大震災により被害を受けました。津波で失った建物の代わりに新たな建物を取得したいのですが、契約書に係る印紙税において震災に関する優遇措置を受けることが出来るのでしょうか?

「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成23年法律第29号)」により、東日本大震災により被災された方等については、印紙税に関して次のような非課税措置が設けられています。

  1. 特別貸付けに係る消費賃借に関する契約書の非課税
  2. 一定の金融機関が、被災者を対象として行う特別貸付けに係る消費賃借に関する契約書の非課税
  3. 東日本大震災により滅失した消費賃借に関する契約書等に代わるものとして作成する文書の非課税※平成23年3月11日から平成25年3月31日までの間に作成されるものに限る
  4. 被災者が作成する不動産の譲渡に関する契約書等の非課税
  5. 被災した農用地の代替農用地の譲渡に係る不動産の譲渡に関する契約書等の非課税
  6. 被災した船舶・航空機に代わる船舶・航空機の取得等に係る船舶又は航空機の譲渡に関する契約書等の非課税
  7. 独立行政法人中小企業基盤整備機構が仮設施設整備事業に関して作成する不動産の譲渡に関する契約書等の非課税 

    ※平成23年5月2日から平成29年3月31日までの間に作成されるものに限る

貴社は、1~7の内、4に該当します。東日本大震災の被災者が、滅失等した建物の代替建物を取得する場合等において作成する「不動産の譲渡に関する契約書(印紙税法別表第一第1号の物件名の欄1)」又は「建設工事の請負に関する契約書(印紙税法別表第一第2号のうち、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約)」については、平成23年3月11日から平成33年3月31日までの間に作成されるものについては、印紙税が非課税とされています。(震災特例法第48、49条)

また震災特例法第48においては、非課税措置の適用範囲が拡充され、次のいずれかに該当する場合に作成するものが含まれることになりました。

  1. 警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に所在していた建物(以下「対象区域内建物」といいます。)が所在した土地を譲渡する場合
  2. 対象区域内建物を譲渡する場合
  3. 対象区域内建物に代わる建物(以下「代替建物」といいます。)の敷地の用に供する土地を取得する場合
  4. 代替建物を取得する場合
  5. 代替建物を新築する場合

上記、1から5の場合に作成するものについての非課税措置の適用期間は、警戒区域設定指示等が行われた日から、その警戒区域設定指示等が解除された日から起算して3月を経過する日と平成33年3月31日のいずれか早い日までの間とされています。

 「被災者」と「被災者以外の者」が共同して作成する契約書の場合、「被災者」が保存するものは被災者が作成したものとみなされて非課税とされます。しかし、「被災者以外の者」が保存するものは被災者以外の者が作成したものとみなされて課税とされる点が注意する必要があります。

<参考文献等>

・「問答式 実務印紙税」 藤田伸一編 一般財団法人 大蔵財務協会

・国税庁HP 東日本大震災に関する税務上の追加措置について(印紙税関係)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/higashinihon/tokurei/inshi_01/tsuikasochi.htm

執筆者:和田

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