お役立ちコラム

海外在住者から受ける現地情報の対価の支払は源泉徴収が必要?

当社は家電の製造販売を行っておりますが、新製品の開発に際して、海外在住の日本人に日本で受け入れられると思われる家電に関する商品情報の提供や現地雑誌の収集をお願いし、毎月現地での活動及びレポートの対価として500ドルを支払うことにしております。

このときの支払について源泉徴収は必要でしょうか。

 支払の相手先がたとえ日本人であったとしても、海外に居住する者は日本の非居住者に該当するため、その対価の支払いが所得税法に規定する国内源泉所得に該当する場合には、対価の支払者は支払の際に源泉徴収を行わなければなりません。

 今回、貴社が受けた役務について、国内源泉所得に該当する否かについては所得税法第161条の第11項の使用料に該当するか否かによるところだと思われます。

 そこで「ノウハウ」等の使用料に今回の役務が該当するかの検討を行うことになりますが、所得税基本通達161-34(工業所有権等の意義)においてその後段で、「海外における技術の動向、製品の販路、特定の品目の生産高等の情報又は機械、装置、原材料等の材質等の鑑定若しくは性能の調査、検査等は、これに該当しない」とあります。

 このため、今回貴社が受けた役務はいわゆる「ノウハウ」の提供には該当しないことになり、使用料には該当しないと考えられます。

 そうすると当該役務は現地での人的活動の結果によりもたらされたものと判断されます。

 人的役務提供の対価については役務提供地で所得源泉地を判断することになり、今回の場合は、役務提供地は海外になることから、国外源泉所得に該当し、源泉徴収は不要と思われます。

<参考文献等>

 「事例でわかる国際源泉課税」(著者:牧野好考)

執筆者:小坂

 

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