お役立ちコラム

過去4年以内に退職金を受け取っている場合、退職所得控除額はどうなるのでしょうか?

甲社に21年4ヶ月勤務(X1年4月~X22年7月)し、退職の際、退職金を受け取りました。

また、乙社に8年9ヶ月勤務(X16年7月~X25年3月)し、この度退職することになりました。

今回の乙社退職時に受け取る退職金の退職所得控除額はどのように計算されるのでしょうか?

はじめに、乙社から受け取る退職金の計算を甲社での勤務期間も含めた通算期間に基づいて行っている場合は、お役立ち情報vol.1897をご参照ください。

計算期間を通算しておらず、前年以前4年内に甲社から退職金を受けている場合、甲社退職金に係る勤続期間と今回受け取る乙社退職金に係る勤続期間とに重複期間があるかどうかによって、乙社退職時の退職所得控除額は異なります。

 

勤続期間に重複期間がないケースでは、次の様になります。

  乙社退職時の退職所得控除額:40万円×9(1年未満切上)360万円

 

一方、勤続期間に重複期間があるケースでは、今回受け取る乙社退職金にかかる勤続期間により計算した退職所得控除額(A)から、勤続期間が重複している部分の期間(1年未満切捨)を勤続年数とみなして計算した退職所得控除額(B)を控除した金額が、乙社退職時の退職所得控除額となります。なお、Bについて、前回の甲社退職金受取時の退職所得控除額に控除不足があれば、みなし重複期間により計算します。

具体的には次の様になります。

①まず、Aを算出します。

・40万円×9年(1年未満切上)=360万円

②次に、前回の甲社退職時の退職所得控除額を算出します。

・甲社退職時の退職所得控除額:800万円+70万円×(22年-20年)=940万円

③最後に、前回の甲社退職金と上記②とを比較し、控除不足額の有無に応じてBを算出し、AからBを差引きます。

■甲社退職金が1,000万円であった場合

  ・1,000万円>940万円 ⇒ 控除不足なし。

  ・重複期間:6年1ヵ月(X16年7月~X22年7月)

  ・重複期間に係る退職所得控除額:40万円×6年(1年未満切捨)=240万円…(B)

  ・乙社退職時の退職所得控除額(A-B):360万円-240万円=120万円

 ■甲社退職金が900万円であった場合

  ・900万円<940万円 ⇒ 控除不足あり。

  ・甲社での勤務期間の算定:

  20年+(900万円-800万円)÷70万円(1年未満切捨)=21年

  甲社でのみなし勤務期間: X1年4月~X22年3(21年)

  ・みなし重複期間:5年9ヵ月(X16年7月~X22年3

  ・みなし重複期間に係る退職所得控除額:

  40万円×5年(1年未満切捨)=200万円…(B)

  ・乙社退職時の退職所得控除額(A-B):360万円-200万円=160万円

 

<参考文献等>

国税庁HP 

・タックスアンサー No.2732 退職手当等に対する源泉徴収

 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2732.htm

所得税法 30条5項1号

所得税法施行令 70条1項2号、2項

執筆者:瀧澤

 

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