お役立ちコラム

法人番号指定通知書を紛失した場合の対応について

1. はじめに

 
2016年1月から「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づいた「社会保障・税番号制度」が動き出しています。
この制度の下では「個人番号」と「法人番号」の二種類があり、それぞれが異なる目的・性質を持っているため、正しい理解が求められています。
個人番号については、様々な個人情報と紐づけられるなどプライバシー性が高いことから企業のコンプライアンス管理等で話題になりやすいですが、法人番号については容易に検索ができること等からあまり注目されていません。
本コラムでは、法人番号について基本を整理し、実務での取り扱い方や利活用についてまとめたものとなります。
 
 

2. 法人番号の基本

 

(1)指定対象

 
法人番号は、以下のような団体に指定されます。
 

・設立の登記をした法人

※登記を行わない法人であっても、「公共法人」や「親会社から社員を派遣されている健康保険組合」、「ボランティアで運営される人格のない社団等が報酬等の支払調書の提出義務者となる場合」などは、国税庁長官に届け出ることで法人番号の指定を受けることが可能
 

・給与支払事務所等の開設届出書等を提出することとされている団体

※具体的には、税法上、給与支払事務所等の開設届出書、法人設立届出書、外国普通法人となった旨の届出書、収益事業開始届出書、消費税課税事業者届出書、消費税の新設法人に該当する旨の届出書又は消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書を提出することとされている団体
 
また、以下のような法人には法人番号は指定されません。
・外国法人(外国に本店がある法人)
・法人等の支店や事業所等
・個人事業者、民法上の組合、有限責任事業組合等
 

(2)目的

 
法人番号は、以下のような目的で使用されることが想定されています。
 

(a)行政の効率化

・行政間での情報の受渡しを円滑にする
 

(b) 国民の利便性の向上

・申請者側が各行政に重複した情報を出す必要がなくなる
 

(c) 公平・公正な社会の実現

・社会保障等の行政分野において、給付と負担の関係を把握する
 

(d) 新たな価値の創出

・民間による利活用により、法人番号を用いた新たなサービス等の創出が期待される
 
 

(3)通知・利用方法

 

(a) 通知

法人番号は、「法人番号指定通知書」により通知されます。
この通知書は、法人番号指定通知書の作成日において、国税庁が保有している登記情報や税務署への届出情報等に基づき記載しています。
法人番号は、国税庁長官が指定した13桁の法人番号を記載しています。法人番号指定後に「商号又は名称」又は「本店又は主たる事務所の所在地」に変更があった場合でも、法人番号が変更になることはありません。
設立登記法人の場合、法人番号指定通知書は、設立登記完了後一週間程度で登記上の所在地宛に普通郵便で送付されます。なお、設立登記法人の場合、登記事項証明書に記載されている会社法人等番号(12桁)から、法人番号(13桁)を計算することができます。
 

(b) 利用方法

法人番号は、インターネット(法人番号公表サイト)を通じて公表され、どなたでも自由に利用することができます。
公表される情報は、法人番号の指定を受けた法人等の基本3情報(1.商号又は名称、2.本店又は主たる事務所の所在地及び3.法人番号)です。
また、法人番号の指定を受けた後に、商号や所在地等に変更があった場合には、公表情報を更新するほか、変更履歴も併せて公表します。
ただし、人格のない社団等の基本3情報の公表には、その代表者又は管理人の同意が必要です。
 
 
 

3. 法人番号について、その他

 

(1)法人番号指定通知書を紛失した場合

 
法人番号指定通知書は、法人番号をお知らせするためのもののため、原則として通知書の再送付は行っていません。
なお、国税庁法人番号公表サイトで法人番号等の確認ができないなど、通知書が必要な場合(例えば、公表に同意していない人格のない社団等で通知書を紛失し、法人番号がわからない場合など)は、法人番号管理室(0120-053-161)まで連絡すれば確認できます。
 
 

(2) 金融機関や行政機関から法人番号指定通知書の提出を求められた場合

 

(a) 法人番号が指定されている場合

国税庁法人番号公表サイトの法人情報の画面を印刷して提出することとなります。
 

(b) 法人番号が指定されていない場合

法人番号の指定がない法人等もありますので、法人番号が指定されていない場合には、金融機関や行政機関に対し、法人番号が指定されていない旨をお伝えください。なお、法人番号が指定されていない法人等であっても一定の要件に該当するものは、国税庁長官に届け出ることによって法人番号の指定を受けることができます。
 

(c) 法人番号が指定されているか否か不明な場合

法人番号が指定されているか否かは、国税庁法人番号公表サイトで確認できます。法人番号等の確認ができない場合(公表に同意していない人格のない社団等の場合)などは、法人番号管理室に問い合わせることとなります。
 
 
公開日:2016年01月22日
更新日:2019年08月02日
 
執筆者:西山 

 

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