お役立ちコラム

勤務先が負担した配偶者の健康診断料の取扱い?

私の勤務する会社では、福利厚生の一環として、本人とその配偶者が同時に健康診断を受信すれば、その費用が返金される事になりました。これは毎年一回、全役職員を対象としているものです。先日、早速、夫と一緒に受診しかかった費用を会社に請求したところ、請求した受診費用は全額振込まれていたのですが、今月の給与明細には所得税の課税対象に夫分の受診費用が加算されていました。これは会社での処理の間違いでしょうか?

会社の処理は正しいと考えられます。

これは、ご主人分の健康診断料は給与所得として所得税の課税対象となる為です。

役職員全員を対象とする一般的なご本人分の健康診断料等の経済的利益は、次の理由から強いて給与課税を行わない事とされています。

① 法律上、労働者を雇用する使用者は、労働者に対する健康診断の義務を負っていること。

② 年一回程度の一般的な健康診断は、健康管理の必要上、一般的に実施されているものであること。

逆に考えると、配偶者分については、次の理由から経済的利益という現物給与として、給与課税を行うべきものと考えられます。

① 法的には、会社側に健康診断による健康管理義務がないこと。

② 使用者が、配偶者の健康診断料を負担する事は一般的とは認められないこと。

本件では、ご本人分の健康診断料を課税対象外、ご主人分を課税対象として取り扱ったと考えられますので、適正な処理と言えます。

<参考文献等>

人間ドックの費用負担(国税庁 質疑応答事例より)

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