お役立ちコラム

事前確定届出給与とは?

当社は当初計画よりも利益が出そうなので役員に賞与を支給しようと思いますが、税務上どのような点に留意すればいいでしょうか?

役員に賞与を支給する際には、事前に所定の届出書を、決められた期限までに税務署に提出し、その届出どおりの金額を支給していないと、その支給した金額を損金に算入することができません(これを事前確定届出給与といいます)。

ある会計期間で初めて届出をする場合には、以下のように期限が定められています。

区分

届出提出期限

①  株主総会、社員総会等の決議により所定の時期に所定の金額を支給することを定めた場合

次のうちいずれか早い日

a.  その決議の日から1月を経過する日

b.  会計期間開始の日から4月を経過する日

②  新たに設立した法人が所定の時期に所定の金額を支給することを定めた場合

その設立の日以後2月を経過する日

③  臨時改定事由により新たに事前確定届出給与の定めをした場合

①の届出期限と臨時改定事由が生じた日から1月を経過する日とのうちいずれか遅い日

 

 上記期限までに、事前確定届出給与の届出と付表、そして議事録を添付して提出し、その届出どおりに役員賞与を支給しなければ、全額損金不算入となってしまいます。事前確定届出給与対象者が複数いる場合には、その事前確定届出給与対象者ごとに付表を作成し、誰に、いつ、いくら支給するのかを明確に記載する必要があります。

 また、既に提出している届出の内容を変更する場合にも変更届出書を提出する必要があります。役員報酬が定期同額給与でないと損金算入できないのと同じように、会社に利益が出そうだからといっていきなり費用として計上してその分の税金を免れようとすることをできなくするための法律です。役員賞与の支給は決まっていたのに事前に届出を提出し忘れることなどないようご留意ください。

 

<参考文献等>

国税庁HP

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/5104.htm

 

(掲載日:2017年10月11日)

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