お役立ちコラム

住宅の値引販売による経済的利益

当社は不動産販売を業としている会社になります。当社の商品である土地、建物等の不動産を従業員に販売するケースにおいて、通常の販売価額の70%相当額で販売することを考えていますが、この場合の不動産の値引販売による経済的利益について所得税基本通達36-23≪課税しない経済的利益・・・商品、製品等の値引販売≫を適用して問題ないでしょうか?

土地、建物等の不動産の値引販売による経済的利益については、所得税法基本通達36-23の取扱いを適用することはできません。

 使用人等が使用者から受ける物又は権利その他経済的利益については、原則として給与所得(現物給与)に該当するものとして課税されますが、一定の要件を満たす値引販売により使用人等が受ける経済的利益については、課税しないこととしています。

  この取扱いは、一般的に行われている値引販売については、利益の額が少額であること、値引販売は一般の顧客に対しても行われる場合があること等を考慮して設けられているものです。

  しかしながら、今回のような不動産の値引販売による経済的利益については、次の理由から所得税基本通達36-23を適用することはできません。

1 経済的利益の額が極めて多額で、少額不追及の趣旨に沿わず、福利厚生とはいえないこと。

2 不動産は一般の消費者が自己の生活において通常消費するようなものでないこと。

 

 <参考文献等>

所得税法基本通達36-23

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm

国税庁HP 住宅の値引販売による経済的利益

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/26.htm

関連コラム

令和5年度税制改正 NISA制度の抜本的拡充・恒久化
はじめに 令和5年度税制改正の目玉の一つとして、NISA制度の抜本的拡充・恒久化が公表されました。NISA制度自体は以前から存在した制度で、一定金額の範囲内で投資によって得られた利益が非課税となる制度になっています。従来のNISA制度には一…
確定申告の基本
はじめに確定申告の受付時期がやってきました。確定申告は全ての人が行わなければならないわけではありませんし、会社員の方等は年末調整を行っているから自分には関係ないと思われるかもしれません。しかし確定申告をすることによって納めすぎた税金が戻って…
退職所得控除額の計算方法の注意点-2回目の退職金の支給を受けた場合-
今回は、転職に伴い退職金の支給を複数回受けた場合の退職所得控除額について説明します。 p; ■ 基本的な退職所得控除額の計算方法 p; 退職所得の金額計算に必要な退職所得控除額は、退職金の支給を受けた会社での勤続年数に応…
歯列矯正は医療費控除の対象となるか
今回は所得税の確定申告における医療費控除のお話になります。 医療費控除の対象となる医療費は、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。 では「水準を著しく超える」とはどのようなものなのか。保険…
青色申告(個人)
青色申告制度の概要 p; 個人事業主の方は1年間(1月1日から12月31日までの間)に生じた所得金額を正しく計算し、申告するためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を帳簿に記録し、取引に伴って発生した書類を保存してお…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。