お役立ちコラム

物件のオーナーチェンジに伴う消費税の経過措置の取り扱い

最近、事務所として入居しているビルについて、オーナーが変更になったという通知が来ました。当社は長年このビルに入居しており、消費税についても経過措置の適用により古い税率のままになっています。このまま消費税の経過措置について適用になると考えてよいですか。

   オーナーが変更になったという通知だけで、旧貸主と入居者間で締結した契約内容に変更がなく新貸主にそのまま承継されている場合は、経過措置がそのまま適用され古い税率が適用されることになります。

   ご質問のようなケースの場合、オーナーが変更することで契約内容が変わるため、経過措置の適用対象外となるとも考えられますが、実際に適用対象外となるのはオーナーの変更に伴い旧オーナー・新オーナー・入居者の三者間で覚書を交わすなど新たな契約を締結した場合に限られます。

   新たに契約を結び直すのではなく入居者へオーナーの変更通知を行う場合は、従前からの賃貸借契約が継続していると考えられるため消費税率に関する経過措置の適用も継続することになると考えられます。

 

<参考文献等>

国税庁消費税室「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf

 

(掲載日:2015年10月26日)

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