お役立ちコラム

特定資産の買い替えの圧縮記帳

当社で15年前から保有している不動産を5億円で売却し、新たに別の不動産を購入しようと考えています。しかし、利益が2億円発生し、それに対する法人税が課税されると資金的に新たな不動産の購入が難しくなってしまします。何か法人税を軽減させる方法はないでしょうか。

法人が特定の資産を買い替えた場合には圧縮記帳の適用を受けることができます。

圧縮記帳とは取得資産の帳簿価額を減額しその減額した金額を損失として計上するなどの方法により課税の繰り延べを行うことです。所有期間が10年を超える土地は圧縮記帳の対象となりますのでこのケースですと、圧縮記帳の適用を受けることができます。

なお、圧縮限度額は次の算式により求めます。

圧縮限度額=圧縮基礎取得価額(※1)×差益割合(※2)×80/100

(※1)買換資産の取得価額と譲渡対価のうち買換資産の取得に充てた金額とのいずれか少ない金額

(※2)差益割合=譲渡対価-(譲渡資産の帳簿価額+譲渡経費)/譲渡対価の額

 この規定はあくまで課税の繰り延べなので、一時的に税負担は軽減しますが、翌年以降の減価償却費が減少することにより法人税額が増加するため、トータルの税負担は変わらないものとなっています。

<参考文献等>

国税庁HP(特定資産を買換えた場合の圧縮記帳)

http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5651.htm

関連コラム

収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!
収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!「収益認識に関する会計基準」が、大会社・上場会社において2021 年4月1 日以後開始する事業年度の期首から強制適用になります。(中小企業の適用は任意です)当該の収益認識基準に沿って会計処理を行…
令和4年度税制改正のポイント(グループ通算制度以外の法人課税)
【令和4年度税制改正のポイント】今回は、令和4年度税制改正のポイントの中で、グループ通算制度以外の法人課税に特化して次に掲げる項目について、みていきたいと思います。※グループ通算制度については、別途掲載を予定しています。 1-1.賃上げ促進…
収益認識に関する会計基準と工事契約
業会計基準委員会から、平成30年3月に『収益認識に関する会計基準』が公表され、令和3年4月1日以後開始する事業年度より強制適用となります。以前に、『収益認識に関する会計基準』によって収益認識がどのように構成されていくのかについてまとめました…
電子取引を電子データ保存する義務化は2年猶予で遠のいたか?
電子取引義務化は遠のいたのか?令和4年度(2022年度)税制改正大綱で2年間の猶予が決まる!電子取引を電子データとして保存する義務に向かっていたが・・・経理のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の現場において、今年は夏場から令和4…
法人税とは?対象となる法人や税率などの基礎知識を解説!
法人税とは?課税される法人の範囲法人税は、法人の事業によって得られた所得に対して課される税金です。法人と一言でいっても、法人の種類は様々で、法人の目的や特性により、法人税が課される法人と課されない法人に区分されます。法人税法における法人の区…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。