お役立ちコラム

修正国際基準の公開草案第2号(その他の包括利益の会計処理(案))

平成26年7月31日に企業会計基準委員会(ASBJ)より修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の公開草案が公表されましたが、その公開草案第2号のその他の包括利益の会計処理(案)について概要を教えてください。

現行のIFRSにおいては、その他の包括利益に認識する項目に関してリサイクリング処理とノンリサイクリング処理が混在しています。以下の項目については、ノンリサイクリング処理が要求されます。

 

(1)IFRS第9号におけるその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資の公正価値の変動

(2)IFRS第9号における純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の発行者自身の信用リスクに起因する公正価値の変動

(3)IAS第19号における確定給付負債又は資産(純額)の再測定

(4)IAS第16号「有形固定資産」及びIAS第38号「無形資産」における再評価モデルに係る再評価剰余金

 

リサイクリング処理に関しては日本の会計基準に係る基本的な考え方との相違が大きいため、原則として、すべてのノンリサイクリング処理をリサイクリング処理するように「削除又は修正」を行うこととしました。なお、有形固定資産及び無形固定資産の再評価モデルに係る再評価剰余金については、実体資本維持の概念に基づくものかどうか議論されているものであり、この項目以外のその他の包括利益に認識する項目のノンリサイクリング処理とは異なる側面が見受けられるため、「削除又は修正」を行わないこととしました。

 

<参考>企業会計基準委員会による修正会計基準公開草案第2 号 その他の包括利益の会計処理(案)

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/exposure_20171031_06.pdf

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