お役立ちコラム

一身専属の資格に係る事業の承継について

診療所を営んでいた夫が急死しました。
医師免許をもっていない私は、夫の部下Aさんに診療所の経営を譲り、Aさんから診療所の賃貸収入を受け取って現在生計を立てています。
夫は消費税の課税事業者であり、私は診療所の事業従事者として夫から給与の支給を受けておりました。
この場合私は「夫の事業を相続した」ものとして、消費税を申告・納税する義務はあるのでしょうか。またAさんについても教えてください。

消費税法では、相続があった場合において相続人が課税事業者である被相続人の「事業を承継した場合」において,被相続人の基準期間における課税売上高又は被相続人の基準期間における課税売上高と相続人の基準期間における課税売上高との合計額が1,000万円を超える等の一定の要件を満たす場合に相続人を課税事業者とする規定が定められています。(消費税法10条)

ご質問のケースでは、診療所の建物及び設備等の事業用資産の相続はされていますが、医師の資格もなく、診療所の経営に係る事業を行っているわけではないため、「事業を承継した場合」に当たらないといえます。したがって相続した建物及び設備等の資産の貸付けに係る事業を新たに開始したものとして,基準期間における課税売上高等により納税義務の判定を行えばよいことになります。

一方、診療所の経営を継承したAさんですが、「相続により」継承したわけではないため、引き継いだ診療所の経営に係る事業を新たに開始したものとして,基準期間における課税売上高等により納税義務の判定を行えばよいことになります。

<参考文献> 消費税法基本通達1-5-3   http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/01/05.htm

 

(掲載日:2014年11月14日)

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