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「ABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)」の基礎概念の「資源消費のモデル」について

「ABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)」の基礎概念の「資源消費のモデル」について教えてください

ABCは資源消費のモデルであって、資源支出を基礎に原価を計算する伝統的な原価計算とは区別されます。

原材料やエネルギーといった資源については、生産量が増加すると原材料、エネルギーの消費がほぼ比例的に増加し、支出も増加します。つまり、生産量に応じて変化する変動費については、資源消費と資源支出との間に密接な関係があります。

これに対して、長期的にみると操業度に応じて変化する原価である現場作業員の賃金などは、資源支出と資源消費との間にタイムラグがあります。生産量が増加すると、現場作業員の作業量は増加します。そこで企業は、長期的には多くの現場作業員を雇用しようとします。

その結果、資源支出と資源消費は異なったものとなります。生産設備のような資源では、そのタイムラグはさらに広がります。生産設備は、将来における生産の増加を見込んで取得されることが多いからです。

究極的には、資源の支出と資源の消費は一致しますが、両者の間には時間的なズレが認められます。

ABCでは、製品の生産に必要な資源を消費の側から把握します。つまり、ABCでは利用資源の原価が測定されます。ABCでは利用資源の原価を測定するのであって、投入された資源の原価を測定するのではありません。2つの異なった原価概念は、次の関係式であらわされます。

投入原価 = 利用資源の消費原価 + 未利用のキャパシティコスト

財務会計および伝統的な原価計算では、左辺の投入資源の原価を測定します。これに対して、ABCでは、右辺の利用資源の消費原価を測定します。したがって、ABCによると、排除されるべき活動または活動の結果生じた原価である未利用のキャパシティコストを明確にすることができます。ABCは、このような資源の無駄に気づかせてくれる点に大きな意義を見出すことができます。

<参考文献等>

櫻井通晴『管理会計 第五版』同文館出版、2012年

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