お役立ちコラム

出向元法人が支給する較差補填金

当社では社員を子会社に出向させています。出向者に対する給与は原則として出向先において支給していますが、出向先と当社との給与水準に較差が生じた場合、当社においてその較差分を直接出向者に支給しています。この場合、当社が出向者に支給する較差補填金は、労務の対価ではなく、出向者の一時所得となり、当社においては源泉徴収の必要はないと考えますが、いかがでしょうか。

給与所得とされる給与等とは、必ずしも労務の対価として受けるものだけではなく、使用人が使用者から使用人であることの地位に基づいて支給を受けるものを含むものとされています。当該較差補填金は、その出向者が子会社へ出向しているとはいえ、貴社との身分がいまだに存在していることを前提に支払われるものと思われます。

したがって、当該較差補填金は、貴社が使用人に対して支給する給与そのものであるといえますので、貴社において給与所得としての源泉徴収が必要です。

この場合、出向者は出向先の子会社に対して扶養控除等申告書を提出していると思われますので、貴社では給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の乙欄を適用して源泉徴収税額を計算することとなります。

ただし、当該較差補填金を出向先を通じて支払う場合には、貴社で源泉徴収をする必要はありません。

<参考>

所得税基本通達35-7

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/04/09.htm

  

法人税法基本通達9-2-47

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_09.htm

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