お役立ちコラム

消費税改正経過措置における役務の提供について

経過措置には役務の提供に関するものがありますが、二要件である対価の額が定められていること、事業者が対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないことを満たしていれば、清掃サービスについても役務の提供として経過措置適用を受けられるのでしょうか。

サービスの提供も役務の提供と言えますが、役務の提供に関する経過措置が対象としているのは「指定役務」に限定されるものであり、清掃サービスの提供はこれに該当しないため、経過措置の対象とはなりません。

たとえば、サービスの提供とは、清掃、クリーニング、運送、通信、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述などについて対価を得て行われるものをいい、弁護士や公認会計士、税理士、作家、スポーツ選手、映画監督、芸術家や囲碁・将棋の棋士による専門的知識・技能に基づくサービスの提供もこれに含まれます。

しかし、役務の提供に関する経過措置(改正法附則5⑤)の対象となる「指定役務」は、冠婚葬祭互助会による結婚式やお葬式などの指定役務の提供に限られていますので、上記のサービスは経過措置の対象とはならず、新税率が適用されることとなります。

ただし、宿泊、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、技術援助、情報の提供など、前述のサービスの提供に係る契約については、請負に係る契約(改正法附則5③、改正令附則4⑤)として経過措置の対象となる取引がありますし、興行については、旅客運賃等に関する経過措置の対象となるため、他の経過措置について検討する余地があります。

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