お役立ちコラム

名義株の配当の取扱いについて

 私は、一昨年、所有していた株式を息子と譲渡契約を結び、全て息子に譲渡しました。 一方でこの株式の名義の書換えを失念した為、配当金は私の口座に入金されています。 株式は、現在は息子のものなので、この配当も全て息子に渡しています。 この場合、配当は私の所得として確定申告等をしなければならないのでしょうか?

結論的には、息子さんの所得となるため、確定申告等は不要です。



ご質問の株式は、名義人が実質の所有者と異なる所謂名義株に該当します。



所得税法上では、資産又は事業から生ずる収益について、名義上又は法形式上の所得の帰属者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、他の人や法人がその収益を享受する場合には、実際にその収益を享受する者に所得税が課税されます。(所得税法第12条)

これを「実質所得者課税」といいます。実質所得者課税においては、資産から生ずる収益を享受する者は、その資産の実質の権利者とされています。



ご質問のケースでは、株式の実際の所有者は、息子さんであり、その配当は、実質課税により、実質の所有者である息子さんの配当所得として認識される事となります。

別の言い方をすると、ご質問いただいた方は、単なる名義人であり、実質的な所有者が他に明らかにいるため、所得税は課税されませんので、確定申告等は不要となります。

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