お役立ちコラム

マイホームを買換えた場合の譲渡損失について

3人いた子供たちが皆独立したので、現在住んでいる家(戸建)を売却して、マンションを買おうかと考えています。今の家はバブル全盛のときに購入したため、売却したときに多額の譲渡損(約2,000万円)がでる見込みです。マンションを購入すること自体に資金的な問題はないのですが、損失がもったいないと感じています。この損失を何とか使えませんか?なお、現在は契約社員としての給与所得(毎年500万円程度)があるのみです。

マンションの購入にあたり、たとえ資金的に問題なかったとしても、10年以上の住宅ローンを組むことによりその譲渡損を給与所得から控除して、所得税を圧縮することが出来ます。給与所得が500万円に対し譲渡損が2,000万円ということですので、損益通算により譲渡年は所得が0円となり税額は発生せず、給与から控除されていた源泉税が還付されることになります。さらに譲渡年の給与所得から控除し切れなかった譲渡損は、確定申告により3年間の繰越控除が可能になります。従いまして、本年含め4年間納税が発生せず、源泉税の還付を受けられることになります。

 

なお、適用にあたっては、以下のような要件がありますので、ご注意下さい。

1.譲渡した家屋は国内にあり、かつ譲渡年の1月1日において5年を超えて所有していたこと

2.譲渡した相手が親族等特別の関係のある者でないこと

3.買換えた家屋は国内にあり、かつ床面積が50平米以上であること

4.譲渡年の前年及び前々年に他の居住用財産の特例を受けていないこと など

 

また、繰越控除の適用を受ける場合には、さらにその控除年の合計所得金額が3,000万円以下であること、また譲渡損は譲渡した家屋の500平米分まで等という要件が加わります。

参考条文

国税庁HP タックスアンサーNo.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3370.htm

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