お役立ちコラム
特定支出控除について(平成24年度税制改正)
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24年度税制改正大綱が法制化すると、給与所得者でも確定申告した方が有利になる人が増えると聞いたのですが、どのような改正案なのですか?
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24年度税制改正大綱における給与所得に関する改正案は以下の2点です。
1.給与所得控除額の上限設定(給与収入1,500万円超は、一律245万円)
2.特定支出控除の範囲の拡大等
1.給与所得控除額の上限設定
給与所得は給与収入から給与所得控除額を控除することにより計算します。改正案は、その控除額に限度額を設けようというものですので、確定申告に直接の影響はありません。
2.特定支出控除の範囲の拡大等
給与所得控除額は給与所得者の概算経費と考えられています。概算経費ということですので、実際にかかった経費の方が多ければ、その超えた分を追加で控除することが認められています。それが特定支出控除という制度です。
ただし、かかった経費の全てが認められるというわけではなく、次の範囲に定められています(特定支出)。
(1) 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
(2) 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のうち一定のもの
(3) 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
(4) 職務に直接必要な資格(一定の資格を除きます。)を取得するための支出
(5) 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出のうち一定のもの
(給与の支払者が証明したものに限られます。また、給与の支払者から補填され、かつその補填される部分について所得税が課されていないときは、その課されていない部分を除きます)
今回の改正案は、この特定支出控除について次の2点を改正しようとするものです。
① 特定支出の範囲の拡大
上記(1)~(5)の特定支出の範囲に、以下の経費を加えることが検討されています。
イ.弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
ロ.勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費)(上限65万円)
② 控除枠の拡大
特定支出として控除できる金額は給与所得控除額を超える部分に限られていましたが、給与所得控除額の2分の1を超える部分に拡大することが検討されています。
この特定支出控除は年末調整では適用できません。確定申告することが必要となります。従いまして、今回の改正案が実現した場合、給与所得者も確定申告をすることにより税金の還付が受けられる可能性があるため、確定申告する人が増えると考えられています。
参考URL
平成24年度税制改正大綱
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2012/231224taikou.pdf
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