お役立ちコラム

友人に対する貸付金の貸倒れの場合の取扱いについて

私は、友人Aに数年前に1千万円貸しました。この貸付金に関し、従来より年3%の利息を徴収し、適正に確定申告してきましたが、Aの事業の失敗により昨年より支払がありませんでした。その後、本年6月末にAが破産宣告を受け、元利共に返済されない事が確定しました。この場合の損失は、どの様に取り扱ったら良いしょうか。ちなみに私の収入は他に給与が600万円と趣味の程度で執筆している原稿に係る所得が年25万円程あります。

当該貸付金の貸倒れについては、元金と利息に応じ、それぞれ次の様に取り扱います。

① 元金の取扱い

元金については他に雑所得から控除する事ができます。ただし控除しきれない場合でも、他の所得からは控除できません。本件の場合には、雑所得の金額は未収利息15万円(3%半年分)と原稿料25万円の計40万円の雑所得があります。この金額が元本の金額以下なので、40万円全額を控除できます。しかし、残りの960万円については、給与所得から控除する事はできず、特に税務上の取扱いはありません。

② 未収の利息の取扱い

未収の利息については、一定の計算をして算出した金額を「なかったものとみなし」て、所得の金額から控除する事ができます。計算上、その年分のその所得の金額を限度としますので、結果としてその所得の金額が限度となります。

また、この控除は実際に貸倒れとなった年ではなく、その利息が発生した各年分の所得に遡って控除する事となります。

本件に関しては本年分と前年分とに分けて、それぞれ次の様に取り扱います。

A 本年分

本年分の所得の金額は、①により既に控除され、控除する雑所得の金額がないので、税務上の取扱いはありません。(①と②では①が優先されます。)

B 前年分

前年分の未収利息30万円については、一定の方法で計算した「なかったものとみなす金額」(本年と収入が同じ場合には30万円)を控除し、その部分の税額を還付できる可能性があります。

この場合には確定申告ではなく、更正の請求という手続きが必要となります。

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