お役立ちコラム

損益分岐点とアウトソーシングについて

損益分岐点を下げるにはアウトソーシングが有効だと聞きましたが?

損益分岐点とは、採算がとれるかどうかの分かれ目となる売上高を言います。つまり、この売上高を超えれば利益が出て、満たなければ赤字となります。費用、販売量、利益の関係を分析しこの損益分岐点を算出する分析方法を損益分岐点分析(CVP分析)といいます。損益分岐点には算出式がありますが、ここでは伝統的な損益分岐点分析を図で説明します。

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45度線とは、売上高=費用となる線です。ある売上高の変動費と固定費の合計が総費用(総費用曲線)となりますので、採算が取れる(売上高=費用)点は45度線と総費用曲線の交点となり損益分岐点売上高はAとなります。

損益分岐点を下げる手法はいくつかありますが、ここでは固定費の削減による手法を紹介します。今、固定費を変動費化するアウトソーシングを実施したとします。変動費率を変えずにアウトソーシングができたと仮定すると、

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①固定費を変動費化したことによって、②で総費用曲線が下がり、③で損益分岐点売上高がAからA‘に移動したことがわかります。

実務上、伝統的な損益分岐点分析をそのまま利用することはなかなか難しいのですが、考え方としてはとても有用だと思います。短期利益計画でもこの考え方がよく用いられます。また長期的観点でも損益分岐点を下げることは重要だと思います。景気のいいときは損益分岐点が高いと獲得できる利益も多くなることが多いのですが、現在の経済環境はとても混沌としており、不確実性が高く、大きな経済成長が見込めない状況だと思います。このような場合、固定費のウエイトを下げることにより損益分岐点を下げ、出来るだけ営業レバレッジを下げて、コア業務を強化するほうがよいと考えます。アウトソーシングには様々なものがありますが、コア業務以外を外部委託するとなると、経理、労務関係は最初に手をつけやすいのではないでしょうか。

 

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