お役立ちコラム

社債発行による節税スキームについて

社債を発行することにより節税することができると聞きました。節税スキームを解説してください。

ご質問者様のおっしゃるとおり社債発行により節税することは可能です。

このスキームは社債を引き受けた個人の納税額を節税するためのもので、例えば会社を保有するオーナー様自身の節税対策として有効です。

まず設例①として、オーナー様は会社から役員報酬を年間3,600万円得ているとします。この場合、オーナー様個人の所得計算において役員報酬は給与所得として扱われ、累進課税により所得税及び住民税を合わせて最高税率である50%の税率が適用されます。

次に設例②として、オーナー様は会社から役員報酬という形ではなく、貸付金利息という形で会社の利益を還元させるとし、貸付金額=4億5千万円、利率=8%、貸付金利息=3,600万円とします。この場合、貸付金利息3,600万円はオーナー様個人の所得計算において雑所得として扱われ、やはり累進課税により所得税及び住民税を合わせて最高税率である50%の税率が適用されます。

それでは最後に節税スキームである設例③として、オーナー様は会社から社債利息という形で会社の利益を還元させるとし、社債金額=4億5千万円、利率=8%、社債利息=3,600万円とします。この場合、社債利息はオーナー様個人の所得計算において利子所得として扱われ、源泉分離課税により所得税及び住民税を合わせて20の税率が適用されるのみです。

このように、役員報酬や借入金利息という形ではなく、社債利息という形で会社が獲得した利益を個人に還元することにより、社債を引き受けた個人の節税対策が可能です。

なお会社の法人税額計算上、役員報酬(定期同額給与の場合)、借入金利息、社債利息、いずれも損金になります。

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