お役立ちコラム
新型コロナに関連する社会保険関係の納付猶予
世界的に多大な影響を及ぼしている新型コロナですが特定の業種によっては企業活動の自粛を余儀なくされ、また凡そ全ての業種における社員の働き方をテレワークや時差出勤へ切替え、学校休業により子育て中の従業員への休業等の対応に迫られ、未曾有の事態となっています。企業活動への影響も甚大であり、今後も収束までに要する時間が長引く程、更に影響が大きくなり、収束後もその余波が長く続いていく事が想定されます。そこで日本では社会保険や税金において、納付特例制度が設けられました。そのあたりをまとめて整理していきたいと思います。
目次
- 労働保険料納付及び申告期限の猶予
- 厚生年金保険料納付猶予
- 国民年金保険料納付猶予
- 国民健康保険料納付猶予
- 障害者雇用納付金納付及び申告期限の猶予
1. 労働保険料納付及び申告期限の猶予
○新型コロナウイルス感染症の影響により、事業に係る収入に相当の減少があった事業主の方にあっては、申請により、労働保険料等の納付を、1年間猶予することができます。
○この納付猶予の特例が適用されると、担保の提供は不要となり、延滞金もかかりません。
納期限までの労働保険料の申請及び納付猶予の申請は必要ですのでご注意下さい。
以下のいずれも満たす事業主の方が対象となります。
A)新型コロナウイルスの 影響 により、 令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上 )において、事業に係る収入が前年同期に比べて1 概ね20 %以上減少していること
B)(A) により、一時に納付を行うことが困難であること
C)納期限(※)までに申請書が提出されていること
※令和2年2月1日から令和2年6月30日までの間に納期限が到来している労働保険料等については、令和2年6月30日までに申請すれば、納期限までに申請した場合と同じ取り扱いとなります。
<補足> 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ 、労働保険料等の申告期限・
納付期限(年度更新期間)について令和2年8月31日まで延長されました。
《申告期限》従来 |
延長後 |
令和2年6月1日 ~同年7月10日 |
令和2年6月1日 ~同年8月31日 |
《納期限》 |
従来 |
延長後 |
全期・第1期 |
令和2年7月10日 |
令和2年8月31日 |
2. 厚生年金保険料納付猶予
新型コロナウイルス感染症の影響により事業等に係る収入に相当の減少があった事業主の方にあっては、申請により、厚生年金保険料等の納付を1年間猶予することができる特例制度が施行されました。
納付の猶予(特例)についての詳細は、「新型コロナウイルス感染症の影響による納付の猶予(特例) https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200501.html 」にてご確認頂けます。
3. 国民年金保険料納付猶予
令和2年5月から、新型コロナウイルスの感染症の影響により、収入源となる業務の喪失や売り上げの減少などにより収入が相当程度まで下がった場合は、臨時特例措置として本人申告の所得見込額を用いた簡易な手続きにより、国民年金保険料免除の手続きが可能になります。また、学生についても、収入が相当程度まで下がった場合は、同様に本人申告の所得見込額を用いた簡易な手続きにより、国民年金保険料学生納付特例申請が可能となります。
具体的な手続きについては、住民登録をしている市(区)役所・町村役場または年金事務所にご確認下さい。
4. 国民健康保険料納付猶予
特別な理由がある者については、
・国民健康保険においては、国民健康保険法若しくは規約の定めるところにより、又は地方税法の規定に基づき保険者の判断で、
・後期高齢者医療制度においては、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき条例で定めるところにより、保険者の判断で、
・介護保険においては、 介護保険法に基づき条例で定めるところにより、保険者の判断で、
保険料(税)の徴収猶予を行うことが可能とされていますので、ご加入先の住民登録をしている市(区)役所・町村役場または国民健康保険へご相談下さい。
5. 障害者雇用納付金納付及び申告期限の猶予
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全都道府県の全ての事業主の障害者雇用納付金の申告・納付の期限延長が実施されます(現在厚生労働省告示を準備中、告示公布後公表予定)。
・延長後の申告・納付(※)の期限:令和2年6月30 日
・対象の障害者雇用納付金:令和2年2月1日から6月29 日までに申告・納付の期限が到来するもの
※新型コロナウイルス感染症の影響により、事業につき相当な収入の減少があった場合、令和2年2月1日から令和3年1月31 日までに納付期限が到来する障害者雇用納付金については、事業主からの申請に基づき、原則として1年以内の期間、納付の猶予を受けることができます。申請については6月30日までに行う必要がありますのでご注意下さい。
(引用元:厚生労働省HP、日本年金機構HP、総務省HP、)
(執筆者:緒方)
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