お役立ちコラム

テレワーク導入に向けて知っておくべきポイント

働き方改革の推進に伴い、「テレワーク」を導入する企業も増えてきています。ここではいくつかのQA形式で、経営者または人事労務担当者の目線から、テレワーク導入に関するポイントをご紹介いたします。

 

目次

1.テレワークとは?

2.テレワーク導入のためにどのような手続きが必要?

3.労務リスクを軽減するためには?

4.テレワーク導入に関する助成金について

5.2020年オリンピック・パラリンピックに向けてテレワークが推奨されている理由

 

 

1.テレワークとは?

 

テレワークとは何ですか?

 

日本テレワーク協会では、テレワークを「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義しています。

テレワークは、テレ(Tele)とワーク(Work)という言葉を組み合わせてできた言葉です。テレは、「遠い」あるいは「遠距離の」という意味を持ち、「働く」という意味のワークと組み合わせることによって、「(会社から)離れた(場所で)働く」という意味になります。テレワーク=在宅勤務と捉えられがちですが、サテライトオフィス(カフェ等の事業所では無く別の場所)での勤務やモバイル勤務(単なる営業の外回りのみでは無く、書類作成やメール対応等も事業場外で行う働き方)等も含まれる事になります。

元来、国土面積の広いアメリカが発祥という考え方があり、またアメリカでは車通勤による大気汚染対策や道路混雑対策として1970年代頃に始められたとも言われております。(日本テレワーク協会記載)

 

 

2.テレワーク導入のためにどのような手続きが必要?

 

テレワーク導入の為にはどの様な手続きが必要ですか?

 

テレワーク導入には大きく3つのフェーズがあります。

 

■ フェーズ1

経営層の考え方を整理し、テレワーク導入の目的を定める事が必要です。

導入する目的が明らかになれば、付随して、どの様なテレワーク形態が望まれるのか、対象部署をどうするのか、頻度をどの程度にするのか等々を目的に沿って検討していくことになります。

もう一つ重要なポイントが、「経営層が従業員を信頼出来るのか」という点です。テレワークは従業員の自律に起因する部分が大きいため、そもそも経営層と従業員の間の「信頼」関係の構築が出来ていることが前提となります。

目的を定めるにあたり現状把握も重要事項です。適正に現状を把握して、浮かび上がってくる問題や事情を明らかにした上で、テレワークの目的を検討することが大切です。

 

■ フェーズ2

目的を定めテレワークを導入する事が決まったら、次に「テレワーク導入プロジェクトチーム」を発足することをお勧めします。

より多角的に検討するため、プロジェクトチームには複数部署のメンバーが参画するようにしましょう。

そして、一般的には試験運用から実施します。いきなり正式運用となると、後から問題点が分かった際に修正が難しくなります。事例を見ても、最初は戸惑いがある中で試行錯誤するケースが多く、試験運用中に想定外の課題が出てくることもあるため、修正可能な準備期間を設けましょう。

 

■ フェーズ3

試験運用後の本番導入に向けた取り組みとして、就業規則、労働条件通知書、その他社内ルールの変更を検討します。

就業形態によっては、「在宅勤務規程」や「モバイル勤務規程」等を就業規則とは別に作成することで、労務管理が行い易い場合もあります。

またセキュリティの面からは、「モバイルPC・スマートフォン取扱規定」を作成して社内ルール化するなど、テレワークによるセキュリティリスクを低減する制度、技術的な対策などの検討を行います。

後述する「テレワーク助成金」を申請されようとしている場合には、場合によってはテレワークに関する労働条件通知書や就業規則の写し等の書面提出が求められる事もある場合がございます。

本番運用までのおおまか流れの一例としては、

「就業規則等改定 → 労働者代表の意見聴取 → 従業員への周知 → 労基署への就業規則届出 → テレワーク対象者への労働条件の明示 → テレワーク開始」

となります。必要に応じて社員説明会を開催すると、より理解が得られやすいでしょう。

 ※常時使用する従業員が10人未満であれば労働基準監督署への届出は不要です。

 ※テレワーク対象者へは事前に説明し、同意書を取り付ける事が望ましいとされています。

 

 

3.労務リスクを軽減するためには?

 

労務リスクを軽減する為にはどの様なことがありますか?

 

情報セキュリティ漏洩に注意する必要があります。

厚生労働省委託事業である日本テレワーク協会のサイトではセキュリティ対策のポイントを3つ掲げています。

 

・外部からのアクセスは許された人のみが可能

・セキュリティポリシーに応じてテレワーカーが使用する端末の種類を選択する

・アクセスしてくる端末の状態を確認するICT機器の特定

 

これらはICT機器のセキュリティ設備を導入して『アクセスが許された人のみ』が、『安心して使用できる端末』で、『安全な経路』を通ってアクセスできる環境を構築することが重要だと言われています。

また、書類を減らす事もテレワーク実現に向けて重要な取組です。事前に電子化を進めておく事で、テレワーク導入へのハードルが引き下がり、書類紛失といった労務リスクを軽減する事にもつながります。

また、テレワーク対象者とのコミュニケーションの取り方も工夫していく必要があります。コミュニケーションツールによって適宜最適なコミュニケーションを図り、意思疎通を密にしておくことが、業務効率化のみならず労務管理上も効果的です。

 

 

4.テレワーク導入に関する助成金について

 

テレワーク導入に関する助成金を教えて下さい

 

2019年度テレワークに関する助成金の一例として以下が掲げられます。

・ 時間外労働等改善助成金(テレワークコース)※厚生労働省

時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善(※)及び仕事と生活の調和の推進のため、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。※他要件あり

・ テレワーク活用推進コース(テレワーク対象者は男女ともに対象)※東京都

常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等。※他要件あり

 

助成金は毎年見直され、年度途中でも人気があると助成金予算到達で終了となる事もあります。

まずは実際に申請可能な助成金であるかどうかをホームページ等で確認してください。

 

 

5.2020年オリンピック・パラリンピックに向けてテレワークが推奨されている理由

 

なぜ2020年オリンピック・パラリンピックに向けてテレワークが推奨されているのですか?

 

2012年のロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会では、ロンドン市内の混雑緩和のために、約8割の企業が「テレワーク」を導入し、オフィスに縛られない働き方を実践しました。その結果、開催期間中の混乱は必要最低限に抑えられ、オリンピック・パラリンピック終了後も「テレワーク」がレガシー(遺産)として社会に根付いたとも言われています。(日本テレワーク協会記載)

これを参考とし、2019年度東京都は自治体としてテレワーク推進を積極的に進めています。テレワーク導入企業への助成金支援、サテライトオフィス設置事業所への補助金支援など、2020年オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みが行われていますので、テレワーク導入をご検討されている会社様はこの機会に導入を検討されてみては如何でしょうか。

 

 

参考:一般社団法人 日本テレワーク協会

写真:123RF

執筆者:緒方

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