お役立ちコラム

高齢任意加入被保険者について(70歳以上でも厚生年金に加入できる?!)

先日、新聞等で「厚生年金保険に70歳以上も加入出来る様にし、保険料徴収を検討する」という内容が報道され、改めて日本の少子高齢化対策は急務であることを再認識した次第です。

そんな厚生年金保険に関して、現行法はどの様になっているのでしょうか?

「高齢任意加入被保険者」をご存じですか?」

国民年金では、20歳から60歳に達するまでが強制加入期間となっていますが、60歳以上65歳未満の期間において任意加入できることとし、過去未加入の期間があるなど加入期間が不足しているために老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことができない人や満額の老齢基礎年金を受給できない人について、加入期間を増やす道が開かれています。

また、老齢基礎年金が受けられる480月を超えて保険料が納付されることを防止するために、平成17年4月から、任意加入被保険者については、480月に達した時点で、強制的に任意加入被保険者の資格を喪失することとなりました。

これにより、仮に480月を超えて保険料が納付された場合でも、その超過分の保険料は本人に還付されます。

さらに、年金受給権の確保の観点から、加入期間が不足しているために老齢基礎年金を受給できない人で昭和40(1965)年4月1日以前に生まれた人については、65歳以上70歳未満の期間においても任意加入できる道が開かれています。

 

そして、厚生年金保険の加入者は、会社に勤めていても、70歳になると加入者の資格を失いますが、70歳になっても老齢年金の受給資格期間を満たせないで在職中の人は、申し出てその期間を満たすまで任意加入することができます。

保険料は全額本人が負担しますが、事業主が同意すれば労使折半にすることもできます。

 

今回は、厚生年金保険の高齢任意加入にスポットを当てて、お話していきましょう。

 

【そもそもの厚生年金被保険者の種類】

厚生年金保険法における「被保険者」とは、厚生年金保険の適用対象となる労働者です。

主に、以下の3種類があります。

 

1.当然被保険者

適用事業所に使用される、70歳未満の方のことです。

ただし、以下のいずれかに該当する場合、「当然被保険者」にはなれません。(適用除外者といいます)

  • 臨時に使用される者で、日々雇い入れられる方(1ヵ月を超えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
  • 臨時に使用される者で、2ヵ月以内の期間を定めて使用される方(所定の期間を超えて、引き続き使用されるに至った場合を除く)
  • 事業所の所在地が一定しないものに使用される方
  • 季節的業務に使用される方(当初から、継続して4ヵ月を超えて使用されるべき場合を除く)
  • 臨時的事業の事業所に使用される方(当初から、継続して6カ月を超えて使用されるべき場合を除く)

 

2.任意単独被保険者

適用事業所以外に使用される70歳未満の方(適用除外者を除く)でも、事業主の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受けることで、厚生年金保険の被保険者になることができます。これを、任意単独被保険者と言います。

 

3.高齢任意加入被保険者

70歳になっても老齢年金を受けるために必要な加入期間を満たしていない場合、例え70歳を過ぎていたとしても厚生年金の被保険者になれる制度を「高齢任意加入」と言います。

 

【高齢任意被保険者の加入要件】

基本的には老齢年金の受給資格期間(平成29年8月からは10年)を満たしていない人が、70歳以降も会社で働く場合に、高齢任意加入の被保険者となることができます。

また、高齢任意加入被保険者となり、受給資格を満たした場合は、その後は加入を継続することは出来ません。

 

【高齢任意被保険者の手続き方法】

高齢任意加入被保険者になるためには、勤務している会社を管轄する年金事務所へ「厚生年金保険高齢任意加入被保険者資格取得申出申請書」を提出する必要があります。

 

【高齢任意被保険者の保険料は?】

高齢任意加入被保険者の保険料は、適用事業所に使用されている方の場合は、加入する方が全額負担し自分で保険料を納付する義務がありますが、事業主が同意した場合は、事業主が保険料の半額を負担し、加入する方の分と合わせて年金事務所に納めます。

また、適用事業所以外の事業所に使用される方の場合は、事業主が半額を負担し、加入する方の分と合わせて年金事務所に納めることとなります。

 

【まとめ】

平成29年8月からは国民年金と厚生年金を合わせて10年間(平成29年7月31日までは合わせて25年)の納付期間がないと受給資格期間を満たしたことにならず、老齢年金を受け取ることができない決まりになっています(老齢基礎年金、老齢厚生年金の両方が受け取れません)。

そのため、今後は高齢任意加入被保険者になる方は減少するであろうと言われています。しかしながら、知っていれば、高齢任意加入被保険となり、後に年金を受給することができるであろう人が、この制度を知らなかったために、年金を受給できなかったということになっては、せっかくの制度が無駄になってしまいます。

高齢任意加入の被保険者制度を利用するのは「受給資格期間が足りてない人」に限定されますが、受給資格を満たすまで高齢任意加入被保険者となり、厚生年金に加入することができる、これはぜひ覚えておいて頂きたいと思います。

 

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執筆者:染野

Ⓒ123RF

 

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