お役立ちコラム

年次有給休暇の時季指定義務

2019年4月施行の年次有給休暇の時期指定義務とはどのような内容でしょうか。

働き方改革関連法による労働基準法の改正により、年次有給休暇について、時季指定義務制度が設けられ、2019 (平成31)年4月から施行されます。時季指定義務とは、すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち「年5日」については、使用者が時季を指定して取得させることを義務付けるものです。

※労働者が自らの時季指定または計画的付与により取得した年次有給休暇の日数は、使用者が時季指定すべき「年5日」から除きます。つまり、年次有給休暇をその年に5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者よる時季指定は不要となります。

20181122.PNG

【ポイント】

①対象者は、年次有給休暇が10日以上付与される労働者(管理監督者を含む)に限ります。

②労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者が取得時季を指定して与える必要があります。

③年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要です。

④使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するように努めなければなりません。

⑤使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

⑥事業規模にかかわらず、中小企業も罰則の対象となります。守ることができなかった場合は労働基準法違反となりますので、事業者に対し6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000350327.pdf

執筆者:富田

関連コラム

障害者の法定雇用率 段階的な引き上げ決定
障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。(令和6年4月以降)目次障害者の法定雇用率の段階的引き上げ常用雇用労働者、障害者のカウント方法除外率の引き下げ障害者雇用のための事業主支援1.障害者の法定雇用率の段階的引き上げ民間企業の法定雇用…
治療と仕事の両立支援を考えましょう
【会社が治療と仕事の両立支援を行う意義】「治療と仕事の両立支援」とは、病気を抱えながらも働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受け…
SDGs達成のために人事部門が取り組むべき施策とは?
ここ数年、ニュースなどで大々的に取り上げられることが多いSDGs、企業経営の中では避けては通れないテーマとなっています。その中で、人事労務担当者として自社のSDGsについて取り組む場合、具体的にどのように進めていけば良いでしょうか。17ある…
男女の賃金差異の公表が義務化されます!
令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がされ、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務づけられることとなりました。【法改正の背景】日本における男…
社内だけでは済まされない!社外関係者とのハラスメント対策について
2019年5月、改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が成立しました。改正法は、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されています。パワハラ防止法において事業主に求められていることは、自社の雇用する労働者間にお…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。