お役立ちコラム

徒歩帰宅訓練時の怪我に労災は適用されますか?

会社の災害対策の一環として、徒歩帰宅訓練を実施する予定です。通勤とはいえ通常とは違うルートを使うことになりますが、万一途中で怪我をした場合、労災の通勤災害は適用されるのでしょうか?

労働災害(労災)は、通勤災害と業務災害に大別できます。

通勤災害は「社員が就業する為、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法によって往復する間に発生した災害」を指します。住居が遠方にある等の理由で普段何らかの交通機関を利用している人が、訓練のために徒歩で帰宅する場合、合理的な経路及び方法とはいえませんので、通勤災害は適用されません。

しかし、労災がまったく適用されないかというと、そうでもありません。

帰宅訓練の開催状況にもよりますが、これが業務命令として強制力をもって行われる場合、事業場を離れているものの事業主の支配下にあるとみなされます。ですので、途中で積極的な私的行為を行うなど特段の事情が無ければ、業務遂行性および業務起因性が認められ、業務災害として労災が適用される可能性があります。

他方、これが自由参加のイベント的なものとして行われる場合は、そもそも業務ではないので労災は適用されません。

現在、このようなケースは実例が乏しく、労災適用が適用されるか否かは個別具体的に状況を見て判断される事になります。

 

関連コラム

脳・心臓疾患の労災認定の可能性について
「仕事中突如体調を崩し、結果的に脳内出血になってしまった場合、労災認定される可能性はあるのでしょうか。」このようなご相談を受けたことがあります。確実な回答は難しいとは思いますが判断基準につきましてわかりやすいフローチャートがありますのでお伝…
令和6年11月から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となります
令和6年11月からフリーランスの方も労災保険に特別加入できるようになりましたのでポイントをお伝えいたします。労災保険は、労働者が仕事または通勤によって被った災害に対して補償する制度です。よって労働者以外の方は原則として労災保険に加入すること…
複数事業労働者への労災保険給付について
「労災保険」は、労働者が業務や通勤が原因で、けがや病気等になったときや死亡したときに、治療費や休業補償など、必要な保険給付を行う制度です。これまでは、複数の会社で働いている労働者の方について、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行…
精神障害の労災認定基準が改正されました。
心理的負荷による精神障害の労災認定基準について、「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正され、令和5年9月1日に付で通知がされました。本コラムでは、改正に関するポイントについてまとめました。認定基準の改正を機に、改めて従業員の心理的負荷…
傷病手当金に関する7つの質問に答えます!
怪我や病気になって働くことが出来なくなったらどうしよう…そんな時役立つのが【傷病手当金】です。傷病手当金について様々な事項をご説明します!傷病手当金とは?傷病手当に関する7つの質問入社1年未満でも傷病手当金はもらえる?傷病手当金と労災は同時…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。