お役立ちコラム

健康診断の結果から内定取り消しにしても問題ありませんか?

社員の雇い入れ時の健康診断の結果により、本人も自覚症状がなかった疾患が発覚し、就労が困難となった場合、内定を取り消すことは可能でしょうか?

雇入れ時の健康診断の結果を採否の決定のための基準として用いることは好ましくないものとされています。

しかしながら、改めて医師の判断を求めるなど、就労の可否について十分な検討を行ったうえ、就労が無理だと判断された場合には、採用内定の取り消しも考えられます。



判例においては、『採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる』とされているため、設問のような労働者本人も気付いていなかった疾患は、「採用内定時知ることができず、また知ることが期待できないような事実」にあたるものと考えられます。



雇入れ時の健康診断は、「常時使用する労働者を雇入れた際における適正配置、入職後の健康管理に資するための健康診断」という趣旨で設けられているため、基本的には採用と切り離して考える必要があります。雇入れ時の健康診断ではなく、採用選考を目的として健康診断を実施する場合は、その健康診断が応募者の適正と能力の判断に必要不可欠であるか、検査項目が求人職種の職務遂行に関係のある検査項目となっているか等を慎重に検討した上で行う必要があります。

 

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