お役立ちコラム

経理アウトソーシング(BPO)導入の目的を考えよう!

No1 経理アウトソーシング(BPO)導入の目的 その1

経理アウトソーシング(BPO)導入の目的を考えよう!



まずは目的をはっきりさせよう!


何を実施するにも目的を明確にすることは重要です。

経理の経理アウトソーシング(BPO)を導入するというプロジェクトに関しても同じです。

目的が明確に決まっていて、方針がぶれなければ、プロジェクトはうまくいくケースが多いです。

逆に言えば、目的があいまいなままプロジェクトをスタートさせてしまうと途中で何のために導入しようとしたのかわからなくなり、社内の火種になりかねません。


優先順位を決めないとどっちつかずに・・・

ただ、目的を明確にするといっても、余りにも欲張りすぎると、これも問題になりがちです。

経理アウトソーシング(BPO)を導入する場合の目的は、例えば次のようなものがあげられますが、優先順位を付けることも忘れてはなりません。

    aoten.jpg 経営資源をコア事業に集中

    aoten.jpg コスト削減

    aoten.jpg 業務プロセスの標準化・改善

    aoten.jpg 社員の退職・異動リスクに対する業務の継続性の確保

    aoten.jpg 専門性の追求

どれも非常に重要な目的で、導入する側としては、全てが達成すれば夢のようだと思います。

ただ、例えば高い専門性を追求すれば一定のコストがかかることが予想されるため、コスト削減とは相反することになることも予想されます。

ですから、優先順位を決めておくことが必要なのです。

目的と優先順位を決めて導入すれば、必ずそのプロジェクトは成功することでしょう。

目的その1 コアな業務に人材を投入


コア・コンピタンス経営を経理にも導入


1990年代にアメリカ企業を復活させた経営手法の一つに「コア・コンピタンス経営」という手法があります。

コア・コンピタンス経営というのは、


他社に真似できないような核(コア)となる能力

他社との競争上優位となる源泉を極めて、競争力を維持していく経営手法です。

つまりは、強みを伸ばして市場を席巻することが特徴です。逆に言えば他社でもできる部分に経営資源を投入することは、競争優位に寄与しないと考えています。

コア・コンピタンス経営は、経理アウトソーシング(BPO)と密接な関係にあります。

経理アウトソーシング(BPO)を導入する企業の多くが重要視していることは、導入によって経営資源をコア業務に集中させることです。

コア業務を極めていくことで他社との競争に打ち勝つことに注力し、他社でもできるノンコア業務は、他社に経理アウトソーシング(BPO)することで、その分で空いた人材等の経営資源をコア業務に投入するのです。

経理部門で考えた場合、具体的にはノンコア業務に関わっている経理の人材を経理部門のコア業務に振り向けるようにします。


経理部門のコア業務、ノンコア業務とは?

それでは、経理部門において何がコア業務にあたって、何がノンコア業務になるのでしょうか?

もちろん会社の規模やステージによってコア・ノンコアの位置づけは異なってくると思いますが、概ね次のように区分できるのでないでしょうか。

まず、他社にアウトソースすべきでないコア業務としては次のような業務が考えられます。

    aoten.jpg 予算管理

    aoten.jpg 投資戦略、買収戦略策定

    aoten.jpg 管理会計、原価計算体系の設計

将来の投資や適切な経営評価を行うための管理会計の設計など、未来の数字を作ったり、企業の将来設計に影響する部分については、他社に依存するべきではなく、自社で実施することが重要であると考えられます。

これらのノウハウは社内に蓄積して毎年バージョンアップを図っていくことによって、他社との競争を優位に進める源泉となり得ます。

次にノンコア業務として位置づけられる業務には、何があるでしょうか?

経理部門は会計や税法のルールに基づいて、後付けで処理を行う業務も多く、一定の知識は必要となりますが、ある意味そのルールを知ってさえいれば、誰が行っても結果は変わらないという業務も多く、これらは会社のコア業務とは言えないでしょう。

ですから、次にあげるような過去の数字をとりまとめる業務は、ノンコア業務として外部に委託したとしても会社の成長や他社との差別化には大きな影響を及ぼさないと考えられます。

    aoten.jpg 帳簿作成

    aoten.jpg 決算・税務処理

    aoten.jpg 請求書発行等の販売管理

    aoten.jpg 取引業者への支払処理

    aoten.jpg 社員経費精算処理

    aoten.jpg データの集計作業

このように考えると未来の数字に関する業務はコア業務として社内でノウハウを蓄積し、過去の数字に関する業務はノンコア業務として経理アウトソーシング(BPO)することも視野に入れると整理できます。

経理のコア業務、ノンコア業務という視点を意識して経理アウトソーシング(BPO)する業務範囲を選定することで、結果として望ましい形で業務の分担がなされば導入の目的が達成されることになるでしょう。

自社の経理部門にとって何がコアで、何がノンコアなのかということを忘れずに推進し見てください。

次回以降経理アウトソーシング(BPO)導入の目的をもう少し別の角度からも見ていきましょう。


お問合せ:CSアカウンティングお問い合わせフォーム


関連コラム

経理業務の標準化 ~マニュアル作成のススメ~
たかがマニュアル、されどマニュアル意外に大変だけど効果は抜群簡単なようで出来ないのが、マニュアルを作成するということです。一人の担当者が長く同じ業務についていると、作業内容が頭に入っているので、特にマニュアルがなくても業務はスムーズにまわり…
経理業務の標準化 ~システム統一のススメ~
探す時間を極限まで減らすという観点同じシステムなら人材も活用できる会社ごとに異なると非効率になるという視点成長する企業だと、新規のビジネスを開始するにあたって、子会社を設立することもあれば、企業買収をして、会社を新たにグループに取り込むとい…
電子取引を電子データ保存する義務化は2年猶予で遠のいたか?
電子取引義務化は遠のいたのか?令和4年度(2022年度)税制改正大綱で2年間の猶予が決まる!電子取引を電子データとして保存する義務に向かっていたが・・・経理のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の現場において、今年は夏場から令和4…
経理業務の標準化 ~ファイリング・整理整頓のススメ~
探す時間を極限まで減らすという観点整理整頓出来る会社は強いメーカーなどでは、整理整頓をしている会社ほど業績が良いということが言われています。M&Aをしたら優先的に実施するのは、工場の整理整頓だという名経営者の方もいらっしゃいます。断捨離ブー…
経理業務の標準化 ~決算スケジュール・タスク管理~
スケジュール管理・タスク管理は詳細に実施できていますか?スケジュールを日単位で作成することによる「可視化」目標を達成するために、予定表を作る方は多いと思います。学生時代であれば、試験日に合わせて、スケジュールを組んだ経験をお持ちの方も多いで…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。