お役立ちコラム

【初心者向け】経理担当者が知っておきたい最低限の基礎知識とは?

経理業務の範囲は広く、着任したばかりの方のなかには全体像を掴めていない方もいらっしゃる事でしょう。

ここでは、経理担当者が知っておきたい経理の基礎知識として、基本的な業務内容や伝票作成におけるルール、帳簿の書き方などをご紹介します。

経理の業務を任されて間もない方は、ぜひご参考になさって下さい。

【基礎知識1】経理の基本業務とは?



経理の基本業務は、時系列別に「日次業務」「月次業務」「年次業務」の3つに分けることができます。

以下では、これら3つの業務について解説します。


基本業務1:日次業務


毎日のお金の流れを記録・管理することは、経理の基本業務のひとつです。

得意先からの商品販売代金の入金、家賃の支払、従業員立替経費の精算など、日々の資金・資産の動きを仕訳データとして会計ソフトに入力していきます。

日々の入力をしっかりと正確に行う事で、月次業務をスムーズに行う事ができます。


基本業務2:月次業務


月次業務では、一月間入力した内容に誤りがないか、改めてチェックを行います。

また、直近1ヵ月の伝票、帳簿に誤りがないかチェックすることもあります。

月次業務では、前月や前年同時期と比較を行う事で計上や支払の漏れが無いか、滞留債権(入金の遅れ)は無いか等、確認を行います。


基本業務3:年次業務


年次業務には、一年間の企業活動の集大成である決算業務があります。

損益金額を確定させ、一年間を締めくくります。また、通常決算日の二カ月以内に、税務申告・法人税等の納付を行います。

その他にも、決算に関連する部分では、実地棚卸や株主総会の準備などを経理部門が担当する事もあります。

【基礎知識2】伝票を作成する際のルール


伝票の作成では、守るべきルールがいくつか存在します。

以下では、これらのルールの中でも特に重要な3つをご紹介します。


ルール1:正確な情報を記載する


伝票は、毎日のお金の流れを記録するものです。

伝票に記載された内容に誤りがあると、会社の収益などが正しく算出できないばかりか、納税金額が正しく計算できなくなる可能性も有ります。

そのため、当然ながら伝票には正確な情報を記載することが求められます。

紙面上で作成者・チェック者が確認印の押印を行ったり、会計システム内でログが残せるようにすると、関係者が緊張感をもって業務にあたる様になると共に、ミスがあった時の調査も容易になります。

また、手書きで伝票を作成する際は、鉛筆やシャープペンシルではなく、ボールペンで記入することも大切です。これには、伝票の内容を後から改ざんされることを防ぐ効果があります。


ルール2:ダブルチェックを行う


担当者一人ひとりの意識を変えることでミスは減らせますが、ゼロにすることは難しいものです。

そこで、ダブルチェックの体制を整え、失敗を見逃さない業務フローを構築してみるとよいでしょう。

また、漠然としたチェックにしないために、チェック項目・内容をリスト化・マニュアル化しておくことも有効な方法です。


ルール3:伝票の資料、データは厳重に管理する


経理部門で扱う書類の中には、法令で一定期間保存する事を義務付けられているものが有ります。

総勘定元帳、仕訳帳、各種の補助簿、請求書や納品書なども対象となります。

これらの書類は税務調査などの際に遡って確認する事がありますので、紛失や劣化が無い様にしかるべき場所に保管をしましょう。

【基礎知識3】帳簿の書き方


帳簿には、現金出納帳、預金出納帳、買掛帳、売掛帳、経費帳などの補助簿と、仕訳帳、総勘定帳といった主要簿の2つがあります。

以下では、これらの帳簿の概要と、書き方についてご紹介します。


帳簿1:現金出納帳の書き方


現金出納帳とは、現金の出入りを時系列順に記録した帳簿です。

入出金の発生の度に取引を記録します。

現金出納帳は、確定申告を行う上で必須の帳簿です。

現金出納帳の記入で最も大切なことは、会社の金庫などに保管されている現金と現金出納帳に記載された残高が一致することです。

もし、手元にあるお金と帳簿内の残高が一致しない場合は、何かしらの間違いがあるので、原因を調査する必要があります。

なお、現金出納帳に記入するのは、あくまで現金残高であり、銀行口座にあるお金はカウントしません。

帳簿を作成する際は、この点に気を付けましょう。


帳簿2:預金出納帳の書き方


預金出納帳は、銀行口座の入金、出金手続きを記録する帳簿です。

銀行口座ごとに記録を行い、取引日、取引内容、取引金額などを記入します。

預金出納帳を作成する際に注意すべきポイントは、銀行口座ごとに記録を行うという点です。

同じ銀行の口座であっても、名義が異なる場合は、別々に記録する必要があります。

また、名義が同じでも、普通預金、当座預金、定期預金と口座の種類が異なる場合も、別々に記録する必要があります。


帳簿3:買掛帳の書き方


買掛帳とは、買掛金を記録するための帳簿です。

ある会社から物を仕入れて、その支払いをツケにして後日支払を行う場合には、そのツケの金額を買掛帳に記録しなければなりません。

買掛帳は、税務署へ提出する必要はありませんが、確定申告を行う上で作成が義務付けられています。

買掛金とよく似た言葉に未払金というものがありますが、両者には明確な違いがあります。

基本的に、未払金は備品などの購入代金のツケを意味します。

対して、買掛金は、販売目的で仕入れたものに対するツケを意味します。

2つの違いは、しっかりと理解しておきましょう。


帳簿4:売掛帳の書き方


売掛帳は、買掛帳とは反対に、まだ商品代金を回収できていない売掛金を記録する帳簿です。

売掛帳には、ツケで販売した品名、売上金額、取引日などを記入します。

なお、ツケで販売した商品の売上日は、実際に代金の受け取りが完了した日ではなく、販売が確定して商品が売れた日となります。


帳簿5:経費帳の書き方


経費帳は、経費を使用した際に記入する帳簿です。

経費帳では、水道光熱費、交通費、交際費など勘定科目ごとに帳簿付けを行います。

経費が発生する場合は、現金出納帳、預金出納帳にも記録すべきことが出てきます。

そのため、現金出納帳、預金出納帳の記録を行い、その後に経費帳にその内容を転記するようにすれば、間違いを減らせます。


帳簿6:仕訳帳の書き方


仕訳帳は、取引のすべてを記録した帳簿です。

仕訳帳では、現金出納帳、預金出納帳などに記載したお金の流れを仕訳します。

費用・負債科目の増加は借方に(減少の場合は貸方に)、収益・資産科目の増加の場合には貸方(減少の場合には借方)に記載します。

例えば交通費として現金で5,000円を支払った場合で考えると、このとき交通費は費用、現金は資産という勘定項目に分類されます。

交通費の支払は費用の増加なので借方となります。

対して、現金による支払は、資産の減少となるので貸方となります。

借方 交通費 ¥5,000 貸方 現金 ¥5,000

このように、仕訳帳では、借方と貸方に分けて帳簿付けが行われます。


帳簿7:総勘定元帳の書き方


総勘定元帳とは、仕訳帳の内容を勘定項目ごとに分けたものです。

各勘定科目ごと、仕訳帳に記載された記録が、時系列順に転記されます。

【基礎知識4】伝票や帳簿の処理の流れ


伝票から帳簿付けまでの流れをご紹介します。
大きく分けて3段階に分かれます。


ステップ1

日々の業務の中で、お金の流れが発生した場合、伝票を作成し、記録します。その伝票を基に現金出納帳や預金出納帳などの補助簿を作成します。


ステップ2

補助簿を作成したら、それらの内容を見て仕訳を行い、仕訳帳を作成します。


ステップ3

仕訳帳を作成したら、仕訳帳の内容を勘定項目ごとに分け、総勘定元帳を作成します。

これが、経理業務で行う伝票作成、帳簿の処理の流れです。

まとめ


経理担当者が知っておくべき経理の基本業務と、伝票作成のルール、帳簿の付け方について解説しました。

経理業務は、会社の経営状況を分析し、適切に軌道修正する上でとても大切です。

覚えるべきことが色々あり大変に感じるかもしれませんが、一つひとつステップアップしていきましょう。

経理業務の負担軽減には、アウトソーシングを利用するのもひとつの手です。

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