お役立ちコラム
法人が利付き既発債購入の際に売手側に支払う経過利子の取扱い方法
-
当社はこの度、利付き債券(既発債)を購入したのですが、購入の際に売手側に経過利子を支払わなければならないと聞きました。経過利子とはどのようなものなのでしょうか。また、売手側に経過利子を支払う際の具体的な取扱い方法についても教えて下さい。
-
経過利子とは直前の利払期から売買日の間に発生した買手側が売手側に支払う利息相当額の事です。
法人が利付き既発債購入の際に売手側に支払った経過利子の取扱い方法は下記の2通りとなります。
①経過利子を前払金として処理する方法
債券購入時に前払金として処理をしておき、次の利払日に受取利息と前払金を相殺する方法です。
購入時 (有価証券)××× (現金預金)×××
(前払金) ×××
利払日 (現金預金) ××× (受取利息)×××
(法人税等) ××× (前払金) ×××
②経過利子を債券取得価額に含めて処理する方法
債券購入時に経過利子を債券の取得価額に含め債券売却時又は償還時に売却原価とする方法です。
①の方法を採用すると次の利払日には経過利子を確実に受取利息と相殺できるのに対し、②の方法を採用すると売却をするか償還時迄待たないと経過利子が売却原価とはなりません。取扱金融商品会計に関する実務指針では、①の経過利子を債券の取得価額に含めずに前払金として処理する方法を原則としており、一般的にも広く採用されている処理方法です。税務面では法人税法基本通達で前払金として処理する方法と債券取得価額に含めて処理する方法のどちらの方法も認められています。
なお、経過利子を前払金として処理する方法が認められているのは法人のみであり、所得税法上は認められていないので注意が必要です。
<参考文献等>
金融商品会計に関する実務指針57(1)
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/00224-000428.pdf
法人税法基本通達2-3-10
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_03_02.htm
国税庁質疑応答事例(所得税法上の取扱い)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/05/10.htm
執筆者:藏本
関連コラム
- 収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!
- 収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!「収益認識に関する会計基準」が、大会社・上場会社において2021 年4月1 日以後開始する事業年度の期首から強制適用になります。(中小企業の適用は任意です)当該の収益認識基準に沿って会計処理を行…
- 令和4年度税制改正のポイント(グループ通算制度以外の法人課税)
- 【令和4年度税制改正のポイント】今回は、令和4年度税制改正のポイントの中で、グループ通算制度以外の法人課税に特化して次に掲げる項目について、みていきたいと思います。※グループ通算制度については、別途掲載を予定しています。 1-1.賃上げ促進…
- 収益認識に関する会計基準と工事契約
- 業会計基準委員会から、平成30年3月に『収益認識に関する会計基準』が公表され、令和3年4月1日以後開始する事業年度より強制適用となります。以前に、『収益認識に関する会計基準』によって収益認識がどのように構成されていくのかについてまとめました…
- 電子取引を電子データ保存する義務化は2年猶予で遠のいたか?
- 電子取引義務化は遠のいたのか?令和4年度(2022年度)税制改正大綱で2年間の猶予が決まる!電子取引を電子データとして保存する義務に向かっていたが・・・経理のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の現場において、今年は夏場から令和4…
- 法人税とは?対象となる法人や税率などの基礎知識を解説!
- 法人税とは?課税される法人の範囲法人税は、法人の事業によって得られた所得に対して課される税金です。法人と一言でいっても、法人の種類は様々で、法人の目的や特性により、法人税が課される法人と課されない法人に区分されます。法人税法における法人の区…
当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。