お役立ちコラム

解散・清算時の譲渡損益調整資産の譲渡損益の戻入はいつですか?

弊社は100%子会社で以前に有価証券を親会社へ譲渡したため、グループ法人税制適用により譲渡損益調整資産の譲渡損益の課税繰延の特例の適用を受けています。近い将来、解散、清算を予定しておりますが、譲渡損益の戻入はいつ行えばよろしいでしょうか。ちなみに親会社側で譲渡、評価替え等は予定しておらず、子会社の解散は合併によるものでもありません。

100%グループ内の法人間の譲渡損益調整資産の譲渡損益の戻入の事由に、「譲渡法人と譲受法人との間に完全支配関係を有しなくなったとき」があります。この場合、完全支配関係を有しなくなった日の前日の属する事業年度の所得の金額の計算上、調整勘定戻入益又は調整勘定戻入損を益金の額又は損金の額に算入することとなっています。(法法61の13③)

そこで問題となるのが完全支配関係を有しなくなったときがいつになるかという点ですが、これは、残余財産が確定し、法人が消滅した場合にも、完全支配関係を有しなくなったこと扱われます。この場合の完全支配関係を有しないこととなった日は、残余財産の確定の日の翌日とされています。

したがって、完全支配関係を有しなくなった日は残余財産確定の日の翌日で、その日の前日の属する事業年度に戻入をする、すなわち残余財産確定日の属する事業年度に戻入を行うこととなります。

<参考文献等>

財務省 平成22年度 税制改正の解説 法人税の改正

http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2010/explanation/index.html

執筆者:高木

関連コラム

企業版ふるさと納税の延長とその概要
はじめに今回の経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムは、企業版ふるさと納税の延長とその概要についてです。令和7年度税制改正大綱により企業版ふるさと納税の適用期限3年間延長が発表され、令和10年3月31日までの…
法人税に関する改正措置について
はじめに 今回の経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムは、法人税の改正措置についてです。1.法人税に関する改正措置とは「令和7年度税制改正大綱」で法人税に係る措置として、中小法人の軽減税率の見直し及び防衛特別…
税務会計とは
はじめに今回の経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムは、税務会計についてです。1.所得と利益の違い会計の話をする際に避けて通れないのが、税金についての話です。なかでも、会社を運営していると支払わなければならな…
償却資産税の期限はあっという間
はじめに今回の経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムは、償却資産税についてです。償却資産税は償却資産に係る固定資産税の通称であり、償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償…
賃上げ促進税制の改正について
はじめに 令和6年度税制改正大綱にて賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を十分に超える持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す等の観点から賃上げ促進税制の強化が行われました。この中で特に大きな改正点として5年間の…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。