お役立ちコラム
支払相手先に送金データに請求書番号を入力して欲しいと依頼されたら?
仕入先から発行された請求書に「送金データに取引先コードや請求書番号を入力して下さい」など、特定の記号やコードの入力を依頼するメッセージが記載されていた事はありませんか?
支払いの手続きを行う側からすると、出来るだけ余分なデータ入力は行いたくない、というのが正直な所かと思いますが、仕入先はどの様な目的で依頼をしていて、また、依頼された場合は、どの様に対応を行えば良いのでしょうか?
○特定のコード情報を持たせる目的は?
振込データに特定のコード情報などを持たせるのは、販売・サービス提供側の入金確認作業を容易・効率的に行うためです。
企業は、商品の引き渡しを行った時点、サービスを提供した時点で、売上を計上します。多くの場合、掛売りを行っていますので、売上げた時点では、
借方 売掛金 〇〇〇円 / 貸方 売上 〇〇〇 円
という仕訳が計上されます。
後日請求書を発行し、商品・サービス代金の支払いを得意先に依頼します。得意先から入金があった時点で、
貸方 現金・預金等 〇〇〇 円 / 貸方 売掛金 〇〇〇円
という仕訳を入力し、売掛金の消込を行います。
経理担当者は、得意先が定められた期日までに、きちんと入金しているか確認を行います。この売掛金の消込・滞留債権の有無の確認が入金消込・売掛金消込と呼ばれる作業です。(企業が入金を受ける事由は様々ありますが、ここでは得意先との取引に基づく営業上の未収入金の扱い限定しています。)
○入金消込・売掛金消込業務が煩雑になる要因は?
入金消込・売掛金消込作業の最も基本的・古典的な方法は、通帳や入出金明細を見ながら該当の売掛債権を消し込んで行く方法です。入出金明細や振込入金明細をデータ形式でインターネットバンキングから出力し、会計ソフトに流し込むことで、自動で消し込む方法もありますが、どちらの方法も入金データと売掛債権データとがうまくマッチングしないために、作業がスムーズに流れないというケースも少なくない様です。
この様に作業が煩雑になってしまう大きな要因として、通帳や入出金明細に表示される情報が送金元のカナ名と振込合計金額のみである点が挙げられます。例えば、販売先が多い場合、カナ名だけだと取引先が判別しにくく、入金データと債権データを照合するのに手間が掛かります。また、ある得意先一社に対して、複数の請求書(債権)を発行したのに対して、複数の請求分を合算して送金された場合なども、どの債権分が入金されたのか、すぐには判断できないというケースもあるでしょう。そこで販売元は、どの債権分かを判別しやすくする為に、得意先に対し特定のコード情報等を振込データに記載する様、依頼をする事があります。
○計上債権と入金データを結びつけるEDI情報
上記の様に送金元と入金先が予め記号や番号を取り決め、それを送金データに付随してやりとりすることをEDI(Electronic Data Interchange 電子データ交換)と言います。銀行によって、名称は異なりますが「振込メッセージ」欄、「依頼人番号」欄などがEDI情報の入力欄にあたります。(契約しているサービス内容によっては入力欄がない場合もありますので、詳しくはご利用の金融機関にお問い合わせください)。これらの入力欄に必要情報を入力する事で相手先にEDI情報を通知できます。ただし、「振込人名義の前に特定の番号を記載してください」という場合には、注意が必要です。この場合、振込名義人の名称欄の加筆・修正を行いますが、もし、通常、総合振込を使って送金を行っているのであれば、振込人名義を修正・変更してしまうと、情報を通知したい対象の1社以外の残りの送金先に対しても、特定の番号つきの振込人名義で送金されてしまいますので、インターネットバンキングの機能をしっかりと理解した上で入力を行ってください。
○EDI情報の今後
EDI情報は入出金明細や通帳には、表示されていない事もありますが、全銀データ形式あるいはCSV形式などでデータを取り出す事で内容を確認する事ができます。
EDI情報として、送金先に通知できる文字数は、これまで半角20文字で通知できる情報量に限りがありました。しかし、2018年12月から全銀EDIシステムという新たな企業間決済の仕組みが導入・稼働されました。これは端的に言うと、これまで20文字までという限定的な情報しか交換できなかったものをより多くの情報を交換できるようにしたものです。全銀EDIの活用は送金側と入金側の双方がシステムに対応している必要があるため、現在は限定的な活用に留まっていると言われています。様々な金融システムやサービスが開発、提供されていく中で、全銀EDIシステムが入金消込み業務や債権管理業務をどこまで効率化して行くのか、注視して行く必要があるでしょう。
以上、今回のお役立ちコラムでは、EDI情報の役割・機能についてご紹介させて頂きました。最後までお読み頂き有難うございました。
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執筆者:田代
写真:123RF
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