お役立ちコラム

なぜ既存企業からは新規事業が生まれないのか(イノベーション戦略)

当社は健康食品の開発、製造卸販売を営む会社です。 数年前に微細藻類の大量培養に成功し、その微細藻類を使った健康食品の販売で多くの収益をあげることができ、現在では当社の売上の8割を占める事業に成長しました。 しかし、近年、同様の技術を持った同業他社の市場参入が相次ぎ、収益性が年々減少している状況です。 当社としても品質の向上、並びに生産プロセスの改善により、競争力の向上に努めていますが、状況は好転しません。 経営戦略上、何か良い方法はないでしょうか。

貴社がいる市場は同業他社の参入により、飽和状態になりつつあるように思われます。

このような市場が飽和している競争環境においては、各社が生き残りをかけて既存の商品やサービスの改良を推し進めますが、消耗戦になってしまうことが多いといえます。

さらに、市場が成熟するにつれて製品のコモディティ化が進み、また生産プロセス等の経営効率もハイエンドに達することで、市場で圧倒的シェアを確保することが難しくなると思います。

 このような状況においては、イノベーションを起し、まだ生まれていない競争者のいない新たな市場を作り出すことが企業を存続させる上で重要です

 しかし、ここで気を付けなければならないことは業界トップの企業がイノベーションを起しづらいという”イノベーションのジレンマ”に陥ってしまうことです。

 業界トップ企業がイノベーションのジレンマとよばれる失敗に陥る理由として、主に次の3つの理由が挙げられます。

 まず第1に、イノベーションを伴う破壊的な技術は、初期に製品の性能を低下させるため、既存技術で成功している大手企業の多くは破壊的な技術に関心が低いことにあります。

第2に、技術が市場の需要を上回っているにもかかわらず、トップ企業はハイエンドの技術をさらに持続的に向上することを止められないことにあります。つまり既存技術の延長線の技術に、市場は関心やプレミアムを得ることができないのです。さらに、比較的に性能が低くても顧客の需要を満たす、新たな技術をもった新規企業に市場を奪われる隙を作ってしまいます。

第3に、破壊的技術は利益率が低い、あるいは市場規模が小さいなど、既存の技術で成功している企業にとって魅力を感じず、参入のタイミングを見逃してしまうという点が挙げられます。

イノベーションのジレンマにより、技術革新時に市場のプレイヤーが入れ替わることが往々にしてありますが、トップ企業がイノベーションのジレンマを回避する手段の1つとして社内に小さなベンチャー組織を作り対応していく事があります。

そして、その社内ベンチャー組織を既存の組織と違う基準で評価することで、新技術に目を向けるようなマネジメントをすることが出来る場合があります。

このほか、全社戦略として、例えば事業領域の定義を広げ、「健康食品の開発、製造卸販売ビジネス」から、「バイオテクノロジー関連ビジネス」に再定義することで、健康食品に囚われない(例えばバイオエネルギー)新たな事業に発展することもあるかもしれません。

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