お役立ちコラム

相続財産における支払期日未到来の既経過家賃と前受家賃の取扱い

不動産賃貸業を営んでいる個人事業主の方が7月20日にお亡くなりになりました。そこで、相続税の申告書を作成しておりますが、下記2件は相続財産を計算する上でどのように取り扱えばよろしいでしょうか? ①賃貸借契約において当月分の家賃を当月末日までに振込む契約において7月1日から20日までの期間に対応する既経過家賃で支払期限が未到来の家賃は相続財産に含めなければならないのでしょうか? ②賃貸借契約において当月分の家賃を前月末日までに振込む契約において6月25日に受領した7月分の家賃は前受家賃として債務控除の対象となるのでしょうか?

①に関して、死亡した日においてその月の家賃の支払期日が到来していない場合は、既経過分の家賃相当額は相続財産に含める必要はありません。ただし、支払期日が到来している家賃に関しては、相続財産に含める必要があります。

②に関して、債務控除の対象とはなりません。不動産の賃借人との間の賃貸借契約は、相続人に引き継がれ、相続人はこの契約に基づいて賃借人に不動産を賃貸する義務と賃借人から家賃を収受する権利を承継することとなります。今回の場合、相続人は7月分の家賃において、賃借人に返却するという義務を負っていないため、相続開始において確定した債務には当たらないため債務控除の対象となりません。

 

 

 <参考文献等>

国税庁HP 支払期日未到来の既経過家賃と相続財産

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/02/03.htm

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