お役立ちコラム

外国子会社から現物分配を受けた場合の取扱い

当社は外国(軽課税国には該当しない国)に子会社A社があり、その会社から剰余金の配当として現物分配により有価証券(簿価1,000万円、時価1,500万円)の交付を受けました。現物分配には適格現物分配と非適格現物分配があると聞きましたが、どのような違いがあるのでしょうか。この場合はどちらに該当するのでしょうか。

原則として現物分配等により資産の移転を受けた場合は移転時の時価が移転を受けた資産の取得価額となります。ただし、適格現物分配に該当する場合には、現物分配により移転を受ける資産の価額は現物分配法人の現物分配直前の帳簿価額となります。

適格現物分配に該当するには以下の2つの要件を満たす必要があります。

①現物分配法人と被現物分配法人の間に完全支配関係があること

②現物分配法人、被現物分配法人ともに内国法人であること

したがって、ご質問のケースでは現物分配法人である子会社が外国法人であるため適格現物分配には該当せず、1,500万円が有価証券の取得価額となり、同額が受取配当金として収益計上されることとなります。

現物分配時の仕訳は下記のようになります。

有価証券 1,500万円 / 受取配当金 1,500円

なお、この場合にはA社は外国子会社に該当するため、受取配当金のうち95%(1,425万円)は益金不算入となります。

平成27年度税制改正において、支払側である外国子会社において損金に算入された配当については、受取側である内国法人において外国子会社から受ける配当等の益金不算入の適用対象外となっておりますので、ご注意ください。

<参考文献等>

財務省HP 外国子会社配当益金不算入制度の見直し

http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2015/27taikou_05.htm 

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