お役立ちコラム

離婚時の税金関係の注意点

知人が現在離婚に伴う財産分与について考えているようです。財産分与に伴って注意すべき税務上のポイントなどはありますか??

 離婚に伴う財産分与における税金関係においては、財産をもらう側と財産をあげる側に分けて考える必要があります。

 まず財産分与をしてもらう側について想定されるのは贈与税ですが、基本的には贈与税がかかることはありません。なぜなら、財産分与の本質は結婚生活中に夫婦で築いた財産を分けるところにあると考えられ、いわゆる贈与とは考えられていないからです。

 もっとも例外的にあまりにも過大な額を分与した場合や、税金逃れのために財産分与を行ったような場合には課税の対象となり得ますが、この例外により課税されることはあまり想定しにくいというのが現実的なところです。

 これに対して財産分与をしてあげる側は注意が必要です。現金や車などの動産をあげた場合には特に課税関係は生じません。しかし土地や建物など不動産をあげた場合には所得税の対象となってしまうのです。財産を分与する義務を不動産をあげることで消滅させたとして、財産分与時の時価によって譲渡所得の対象となってしまうのです。

 実際に過去には多額の値上がり益を含んだ不動産を財産分与してしまい、財産をあげた側なのに多額の税金を納めなければならなくなるという事例もあります。

 財産をあげた側なのに税金をとられるのは納得いかない人も多いと思うので、このことはアドバイスしておいた方がいいかもしれませんね。

 

<参考文献等>

国税庁ホームページ

https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4414.htm

https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3114.htm

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