お役立ちコラム

分割払いが行われた場合の役員退職給与の損金算入時期について

株主総会で支給することが承認された退職給与2,000万円は、資金繰りの関係上、一括支給が困難であるため、8年間の分割で支給することを検討しています。この場合、当事業年度に損金算入することは可能でしょうか?

役員退職給与の原則的な損金算入時期は、株主総会の決議等により具体的な額が確定した事業年度とされています。ですので、ご質問にありますように事業年度終了の日までに支払いが行われず分割払いした場合でも、損金算入することが認められます。ただし、支給事業年度において、支給額を損金経理した場合には、支給時期に損金算入することも認められていますので、支給の都度損金に算入することも認められます。(基本通達9-2-28)

一方で、8年間の分割払いの退職金は、その実質を鑑みると退職一時金でなく、退職年金とも考えられる問題があります。退職年金の場合には、年金の支給時期が損金算入されるタイミングになりますので、年金の総額を未払計上等を行い損金の額に算入することが認められません。(基本通達9-2-29)また、所得税では退職一時金は退職所得として取扱われますが、退職年金の場合には雑所得とされているため、受給者の課税方法や所得税の源泉徴収の方法も異なることになりますので、退職一時金に該当するか退職年金に該当するかの判断は慎重に行う必要があります。

なお、役員退職金の分割払いと退職年金の違いは、会社の制度上のもので、会社で役員退職年金制度を整備し、規程があるならば、それに基づく支給は退職年金とみなされます。しかし、その規程がない場合には、実態に即して解釈せざるを得ないこととなります。

 

 <参考文献等>

法人税基本通達9-2-28・29

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_07.htm

 

 

 

 

(掲載日:2014年9月16日)

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