お役立ちコラム

国内と国外に係る印紙の取扱い(印紙税の納税義務)について

香港に住む中国人の売主A(非居住者)が、東京にある事業用不動産を東京に住む日本人の買主B(居住者)へ譲渡しました。売買契約を締結する際、AとBの予定の調整がつかず、同時に対面で契約書に捺印ができなかったため、不動産業者が仲介することになりました。まず、Bが日本で売買契約書2部に捺印し、その後、不動産業者が香港に持参してAが捺印を行いました。不動産業者は帰国後に売買契約書の1部をBに手渡しました。    

この場合、売買契約書に印紙は必要となるのでしょうか   1.売買契約書は事前に国内で作成されている   2.売買契約書には国内で当事者の一方が捺印を行い、他方の当事者は次に国外で捺印している

この売買契約書に印紙を貼る必要はありません。

印紙税法の法施行地内で作成されたものは、課税文書に該当し、印紙税の納税義務が生じますが、この場合は国外で作成されており、印紙税法は適用されず、納税義務はありません。

売買契約書のように契約当事者の意思の合致を証明する目的で作成される課税文書は、当該「証明の時」で法施行地の内外判定を行うことになります。

その証明がされた時とは、「双方の捺印がされた時」となります。

今回の場合、双方の捺印がされたのは、国外(香港)であるため、この売買契約書は課税文書に該当せず、日本の印紙税の納税義務は発生しません。

<参考文献等>

印紙税法基本通達第49条

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/inshi/inshi01/08.htm

  

国税庁HP 質疑応答 外国で作成される契約書

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/06/02.htm

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