お役立ちコラム

親会社から安くオフィスを借りたいのですが・・・?

私はある上場会社の子会社の経理部員ですが、この度親会社と共に移転をすることになりました。ビルとの契約は親会社が一括してビルの所有者と契約をして子会社は親会社から転貸する契約となっております。この場合、親会社に支払う賃借料の坪単価ですが、親会社がビルの所有者に支払っている坪単価よりも安くしたいのですが、何か問題がありますか?

できるだけ賃借料を安くしたいので、本体の契約単価よりも安く契約をしたいという趣旨だと思いますが、税務上の問題はあります。

法人というのは、あくまでも利益を追求する主体なので、時価で取引をするというのが原則的な考え方です。よって、時価と異なる取引をした場合は、利益を追求していないとみなされて、時価と異なる差額について、法人税では、相手に対してタダでしてあげた、あるいはタダでしてもらったと考えます。

今回のケースでは、親会社は子会社に対して、自社で契約している単価よりも安く貸し出していますので、その差額を子会社に対してタダでしてあげている、つまり寄付をしていると法人税では考えられてしまいます。法人税法上、寄付金は損金算入の限度額がありますので、結果として親会社において、寄付金が損金にならない可能性があります。

ただし、今回のケースでは子会社側では寄付してもらった分は受贈益として収益に計上する必要がありますが、同額を賃借料として計上するので、法人税での所得の増減はありません。

このように、親子会社の間で取引を行う場合は、恣意的に価格が決定されることが見受けられ、結果として寄付金の問題が発生するケースがありますので、注意しましょう。価格が恣意的かどうかを考えるときは、親子会社以外の第三者と取引をするときに、果たして同じ価格で取引をするかな?と考えていただき、同じ価格で取引するのが自然であれば、恐らく時価で取引をしていると思って問題はないと思います。

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