お役立ちコラム

日中社会保障協定が実質合意へ

先日中国との社会保障協定が合意に至ったとのニュースがありましたが、社会保障協定とはどのようなものですか?

2018年1月28日、北京において行われた河野太郎外務大臣と王毅外交部長との日中外相会談において2011年10月から協議が続いていた日中社会保障協定(仮称)が実質合意に至りました。増加傾向にある外国人労働者の中でも、国籍別では中国が最も多く外国人労働者全体の29.1%を占めているため(厚生労働省発表の2017年10月末現在の外国人雇用状況届出状況より)、協定が発効されると対象となる方が多くいらっしゃるかと思われます。そこで、今回のお役立ち情報は社会保障協定とはどのようなものかをテーマとしたいと思います。

 社会保障協定とは、出身国と海外赴任国での①保険料の二重負担の防止、②年金加入期間の通算、の2つの目的のために2国間で締結するものです(2国間で締結するものですので、内容は各国ごとに異なり、従業員の出身国や赴任国ごとに内容を確認する必要があります)。

社会保障協定が発効された後は、原則として就労する国の社会保障制度のみに加入することになり、出身国での社会保障制度の加入が免除されます。ただし、5年以内の一時派遣の場合は協定の例外規定が適用され、出身国の社会保障制度のみに加入し、就労する国での社会保障制度の加入が免除されます。外国人社員が日本に来日して5年以内で働く場合、受給資格期間である10年を満たさず脱退一時金を受け取ることになりますが、ご本人の納付額以上の保険料が戻ってくることはなく、脱退一時金受給のために手続きが必要になるため、外国人社員の方にとっては協定を利用するメリットがあります。協定の適用には協定相手国の実施期間からの適用証明書の交付が必要になるなどの手間もかかりますが、外国人社員の意向を確認の上、検討されてはいかがでしょうか。 

執筆者:中谷

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